あまりにお得すぎる「楽天経済圏」。
インフラから資産運用まで、「楽天ポイント」による圧倒的な還元率と利便性の高さで、楽天経済圏に移住する人が増えており、私もその一人です。
しかし昨今、楽天サービスでのトラブルが相次いでいます。
寡占化した業界に切り込む「チャレンジ」をするなら既存企業との軋轢が生まれるのは当然のことです。
しかし、愛用者としては風評被害による売り上げ減衰からのサービスレベル低下や、
もし楽天経済圏が無くなってしまったら代わりになる経済圏へ移住できるのかが気になるところですよね。
本記事では次の内容をお伝えしています。
なお、楽天経済圏がものぐさにとって、時間をかけて最高得点を目指さなくても、及第点のお得を取れることから、いかに時間をかけずにお得を取れるか、を視点に比較しています。
楽天経済圏の住民が期待する“楽天”は存続できるのか?
楽天経済圏の元締め楽天株式会社の「事業」
楽天経済圏の大元締め「楽天株式会社」は次の3事業を柱にしています。
- インターネットサービス事業
- フィンテック事業
- モバイル事業
それぞれの事業で展開されているサービスは次のとおりです。
- 楽天市場などのEC
- 楽天カード
- 楽天銀行
- 楽天証券
- 楽天ペイメント
- 楽天生命
- 楽天損保
- 楽天モバイル
楽天株式会社の直近の決算短信
先日、2020の第1クォーターを終えて決算短信が発表されました。その内容を見ていくと
楽天株式会社の「売上収益」
- 2013年から2019年にかけて約3倍へ拡大
- 2019年と2020年の第一クォーターを比較すると3,080億から3,700億で、20%増
楽天株式会社の「営業利益」
- これまでは1000億を超えていました。
- 2019年からモバイル事業(楽天モバイルや5G)への投資で
2020年第一クォーターではマイナスに転じています。
今年は楽天モバイルと4大キャリアとして名乗り出て、5Gへの参入もありますので
この営業利益マイナスが一時的なものであれば良いのですが、
今後も続くとなると、本記事の懸念へと繋がりかねませんので、
引き続き注視が必要な事態ではないでしょうか。
楽天株式会社の「キャッシュフロー」
直近2~3年は安定してフリーキャッシュフローを確保してますが、波が激しいですね。
営業キャッシュフローは去年の同一クォーターを見るとマイナスでした。
今年は今のところ大丈夫ですが、7-9月期がどうなるか、キャッシュフローについても、引き続き注意していく必要がありそうです。
楽天が存続するとして、現在のお得すぎるサービスレベルは継続されるのか?
楽天経済圏の要となるのが「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」です。
ご承知のとおり、SPUは、「楽天カード」や「楽天モバイル」などの楽天サービス利用に応じて、
「楽天市場」の買い物で「楽天ポイント」の還元率が加算されて、最大16%という驚異の還元率をたたき出す
サービスです。
楽天経済圏のSPU対象の一気通貫サービス
- 楽天会員登録(+1%)
- 楽天カードの利用(+2%)
- 楽天カードの引き落としに楽天銀行口座を使用(+1%)
- 買い物の都度、スマホの楽天市場アプリを使用(+0.5%)
- 楽天ゴールドカードの利用(+2%)【2021.4/1から廃止】
- 楽天証券にて毎月500円以上のポイント投資(+1%)
- 楽天モバイルの契約(+1%)
- 楽天ひかりの契約(+1%)
- 楽天でんきの契約(+0.5%)
- 「楽天の保険」の支払いに楽天カードを使用(+1%)
- 月ベースで楽天トラベルを1回5,000円以上予約し、対象期間に利用(+1%)
- 月ベースで楽天ブックスにて1注文1,000円以上の買い物(+1%)
- 月ベースで楽天Koboにて1注文1,000円以上の買い物(+0.5%)
- 月ベースで楽天Pashaにて100ポイント以上獲得(+0.5%)
- 月ベースでRakuten Fashionアプリにて月1回以上の買い物(+0.5%)
- 月ベースで楽天ビューティにて月1回3,000円以上の利用(+1%)
- TV「Rakuten パ・リーグSpecial」に加入・契約更新(+1%)
このように、楽天経済圏では
「楽天銀行」の銀行口座を家計基盤に
「楽天カード」「楽天Edy」「楽天ペイ」による決済を
「楽天市場」「楽天ファッション」「楽天ビューティー」などの日常の出費や
「楽天モバイル」「楽天でんわ」「楽天でんき」でインフラの固定費をまとめ、
「楽天生命」「楽天損保」で高くなりがちな保険料による固定費を抑え、
「楽天トラベル」「楽天車検」で変動費も抑えて
「ラクマ」で不用品を売り、
「楽天市場のふるさと納税」で住民税の先払いをし、
結果溜まった「楽天ポイント」を「楽天証券」で投資信託購入に充当する
という「使う」「貯める」「増やす」の一気通貫サービスを受けることができます。
楽天経済圏のSPUの今後
これまでも、新しい楽天サービスが展開される度に、
SPUの対象サービスは入れ替わってきましたので、
今後も、SPU対象のサービスが都度変わっていくでしょう。
楽天カードなど、利用者が増えるたびに、倍率が下がっていくでしょう。
私が個人的に危惧しているのは
「楽天証券の投資信託買付を楽天カード決済にすると、
買付額の1%が楽天ポイントが1%還元される」
というサービスです。
このような「1%リターン確定」サービスは他では無く、
この恩恵を受けるために、楽天経済圏に移住してきたと言っても過言ではありません。
先にお話しました昨今の楽天の不安定さが、
このサービスを終わらせるような気がしています。
もし楽天がサービスレベルを下げたときの備えとして、楽天経済圏から移住先はドコ?
楽天経済圏のお得さはお伝えしてきたとおりですが、
もし楽天経済圏が崩壊する事態となった場合、
私たち楽天経済圏の住民が、他の経済圏に移住できるのでしょうか?
「楽天経済圏」からの移住先を検討した結果、移住先が無い!?
楽天経済圏以外にも
- ドコモ経済圏
- au経済圏
- ヤフー(ソフトバンク)経済圏
があります。
最近では、日本で重要なインフラとなった「LINE」も、経済圏化しつつあります。
そこで、楽天経済圏とその他の経済圏で比較してみました。
結果は次の「検討結果一覧」のとおりです。
一番右の「複合」列が、楽天経済圏が無くなってしまった場合に、私が選択するサービスを記載しています。
現状では、いずれも楽天経済圏に変わる経済圏が無いことを示しています。
楽天経済圏からの移住先検討結果一覧
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ネット回線は「Nuro光」、スマホSIMは「UQMobile/Y!Mobile」
私が楽天経済圏から移住するとすれば、利用する「インフラ」は次のとおりです。
「固定回線:自宅のネット回線」と「携帯回線:スマホのSIM」は、何をするにも今や生活の基盤です。
各社値段は似たり寄ったりですが、最も重要なのが「通信品質」だと思います。
キャリアとサブキャリアにおける直近3ヶ月の通信品質を見ると次のとおりです。
楽天ひかり・auひかり・ソフトバンク光・ドコモ光の通信品質比較
楽天モバイル・UQMobile・Y!Mobile・LINEモバイルの通信品質比較
固定回線でどの時間帯も安定した速度を出しているのは「Nuro光」と「auひかり」です。
携帯回線でどの時間帯も安定した速度を出しているのは「UQモバイル」と「Y!mobile」です。
また、通信量を使い切っても最大1Mbpsでデータ通信できる「UQモバイル」と「Ymobile」は優位性が高いです。
一方、キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)は料金が高すぎるので、安定性はありますが、コスパが悪いです。
従って、固定回線と携帯回線で安定しているのは「au経済圏」に軍配が上がります。
UQ mobileとY!mobileを格安SIMは2択!速度なら「UQモバイル」通話なら「Yモバイル」で詳しく解説しています。
ポイントサービスは「Kyash」
私が楽天経済圏から移住するとすれば、利用する「ポイントサービス」は次のとおりです。
- Kyashポイント
楽天経済圏では「楽天ポイント」
ドコモ経済圏では「dポイント」
au経済圏では「Pontaポイント」
ヤフー(ソフトバンク)経済圏では「PayPayポイント」と「Tポイント」
になっています。
サービス名 | 楽天 ポイント | d ポイント | Ponta ポイント | PayPay ポイント | LINE ポイント | Kyash ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
基本還元率 | 1% | 1% | 0.5~1% | 0.5% | 0.5% | 0.5~1% |
提携店舗 | 52万 | 19万 | 22万 | 105万 | 286店舗 | Visa加盟店 |
会員数 | 1億1370万人 | 7234万人 | 9200万人 | 6800万人 | 1000万人 |
いずれも基本的な還元率は1%または0.5%です。
実績や提携店舗だけを見るなら「ヤフー経済圏」の「PayPayポイント」ですが、Tポイントと競合しており、ポイントを1サービスに集約しにくいため、その効果も半減します。
そこで登場するのが「Kyash」です。
決済額から自動でKyashポイント分を差し引けるので、クレジットカードとのポイント二重取りができて、手間なく運用できます。
KyashをKyash Visaカード/Lite(旧Kyashリアルカード)/Virtualを徹底比較!で解説しています。
通販は「Amazon」、クレカは「P-oneカード<Standard> 」、ふるさと納税は「専用サイト」
楽天経済圏が失われてしまった場合、最も影響が大きいのが「使う」区分です。
私が楽天経済圏から移住するとすれば、利用する「”使う”サービス」は次のとおりです。
- 通販:Amazon
- バーコード決済:楽天Pay/PayPay+KyashCard+P-oneカード<Standard>
- クレジットカード:P-oneカード<Standard>
- 電子マネー:Kyash残高
- ふるさと納税:各種ふるさと納税サイト
「楽天経済圏」と「ドコモ・au・ヤフー経済圏」の【ショッピングサイト】比較
サービス名 | 楽天市場 | dショッピング | au PAYマーケット | Yahoo!ショッピング +PayPayモール | LINEショッピング | Amazon |
還元率 | 1~16% | 1% | 1~15% | 1~16% |
「使う」サービスとして、ショッピングサイトは
- 楽天経済圏では「楽天市場」
- ドコモ経済圏では「dショッピング」
- au経済圏では「auPAYマーケット」
- ヤフー(ソフトバンク)経済圏では「Yahoo!ショッピング+PayPayモール」
です。
Yahoo!ショッピング+PayPayモール以外は正直品数が少ないです。
したがって、通販では
- Yahoo!ショッピング+PayPayモールで、Tポイントの通常ポイント2%(「ストアポイント1%」+「Yahoo! JAPANカード利用特典1%」)
- Amazon+Kyash+P-oneカード<Standard>でAmazonポイント1%+Kyashポイント1%+1%キャッシュバックです。
のいずれかがお得です。
「楽天経済圏」と「ドコモ・au・ヤフー経済圏」の【クレジットカード】比較
サービス名 | 楽天カード | dカード | au PAYカード | ヤフーカード | Visa LINE Pay クレジットカード | QuickPay+ +KyashCard +P-oneカード<Standard> |
還元率 | 1% (1pt/100円) | 1% (1pt/100円) | 1% (2pt/200円) | 1% (1pt/100円/会計) | 0.5% (1pt/100円/会計) | 1%+1% (1pt/100円 +1pt/100円) |
年会費 | 無料 | 無料 | 利用無し1375円 | 無料 | 利用無し1250円 | 無料 |
決済の基盤であるクレジットカードでは
- 楽天経済圏では「楽天カード
」
- ドコモ経済圏では「dカード」
- au経済圏では「auPAYカード」
- ヤフー(ソフトバンク)経済圏では「ヤフーカード(YJカード)」
ですが、
- 「Yahoo!ショッピング+PayPayモール」をメインにする場合は「ヤフーカード(1%)」
- 「Amazon」をメインにする場合は「Amazon(1%)+Kyash(1%)+P-oneカード<Standard>(1%)」
がお得です。
ドコモ経済圏では、もし「ローソン」と「マツモトキヨシ」をよくご利用される方であれば、d払い+dカードで2%還元に加え、ローソンでは3%、マツモトキヨシでは4%の還元を受けられます。
au経済圏では、「ローソン」をよくご利用される方であれば、auPAYカードで4%還元を受けられます。ただし、年1回使わないと年会費がかかります。
「楽天経済圏」と「ドコモ・au・ヤフー経済圏」の【ふるさと納税】比較
「ふるさと納税」の品数が最も多いのが楽天市場であり、他のショッピングサイトでは圧倒的に品数が足りません。
したがって、移住先は「さとふる」や「ふるさとチョイス」などのふるさと納税サイトになります。
私の場合、Kyash+P-oneカード<Standard>で決済する2%還元で対応します。
銀行は「auじぶん銀行」か「ジャパンネット銀行」、本命は「住信SBIネット銀行」
「貯める」サービスとして、楽天経済圏には、今や口座開設数が1000万口座に届きそうな「楽天銀行」があります。
お抱えの銀行がある経済圏は
- 楽天経済圏の「楽天銀行」
- au経済圏の「auじぶん銀行」
- ヤフー(ソフトバンク)経済圏の「ジャパンネット銀行」
のみです。
LINE経済圏を検討されている方は、みずほ銀行との協業で「LINE Bank」を2020年度中に設立予定になっていますので、そちらも一考の余地があるかもしれません。
楽天経済圏では「楽天銀行」と「楽天証券」のマネーブリッジサービスを設定すると、普通預金の金利が0.10%になります。
au経済圏の「auじぶん銀行」と「auカブコム証券」で「auマネーコネクト」を設定すると、普通預金の金利が0.10%になります。
ヤフー(ソフトバンク)経済圏の「ジャパンネット銀行」では、Tポイント100ポイントを85円に現金化してくれる「Tポイントの現金交換」サービスがあります。
私は住信SBIネット銀行が既にメインバンクなので、大きな影響はありません。
おススメネット銀行はネット銀行を徹底比較!オススメは住信SBIネット銀行と楽天銀行だ!で解説しています。
証券会社は「SBI証券」一択!
お金を働かせて「増やす」ためには投資が必須です。
お抱えの証券会社がある経済圏は
- 楽天経済圏の「楽天証券」
- au経済圏の「auカブコム証券」
のみです。
先にも書きましたが、楽天経済圏における「楽天証券」では、投資信託を50,000円まで、クレジットカード決済して1%のポイント還元を受けることで、リターン1%を確定できます。
あまりにもお得なサービスであるため、いずれ無くなるのではないかと危惧しており、そのリスクヘッジのため、「楽天証券からSBI証券へ移管する方法【日本株、海外株、投資信託】」の記事を書いたとおり、SBI証券へ移管する予定です。
一方、au経済圏における「auカブコム証券」では、日本株の取り扱いはありますが、米国株の取り扱いがありません。
したがって、米国株や米国ETFへ投資したい場合に「suカブコム証券」を選択できませんのでご注意ください。
楽天経済圏が滅びたらドコモ・au・ヤフー経済圏は代わりになるのか!? まとめ
いかに楽天経済圏がお得であるか、お分かりいただけたかと思います。
大体となるサービスはありますが、インフラ~資産形成まで、一気通貫したサービスを展開できているのは楽天経済圏しかありません。
もし「楽天経済圏が滅びても、別の経済圏に移ればいいんでしょ?」くらいにしか考えていない場合、焦りから批判ばかりになってしまいます。
ご自分にとって、最も利用する・重要視するサービスを決めて、相場や質を比較し、新たな経済圏が成立するまで別の経済圏に移動するか、私のように個々のサービスを確定しておくことをおススメします。
本記事がその一助となれば幸いです。
とはいえ、楽天は今や生活基盤のひとつになっていますので、引き続き生活基盤に切り込む挑戦を続けていってほしいものですね。
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