老後2000万円問題から早1年。
金融庁の「NISA利用状況調査」によると次の表のとおり、一般NISAもつみたてNISAも口座数・買付額ともにかなり増加しており、コロナショックの影響で株式投資を開始する人も増えて、今年はさらに伸びています。
年月 | 一般NISA 口座数 | 一般NISA 買付額 | つみたてNISA 口座数 | つみたてNISA 買付額 |
---|---|---|---|---|
2020.6月 | 1,200 万 7,249 口座 | 19 兆 6,958 億 5,694 万円 | 244 万 3,717 口座 | 4,577 億 5,666 万円 |
2019.12月 | 1,174 万 7,353 口座 | 17 兆 8,857 億 4,961 万円 | 189 万 230 口座 | 2,975 億 5,299 万円 |
2018.12月 | 1,150 万 667 口座 | 15 兆 6,342 億 7,971 万円 | 103 万 6,603 口座 | 931 億 502 万円 |
しかし、実際にアーリーリタイア(FIRE)やセミリタイア、老後を迎えたとき、実際にどうやって取り崩していけばよいのでしょうか?
ここでは
についてお伝えしていきます。
資産運用の出口戦略「4%ルール」とは?
資産運用の出口戦略で定番かつ長年にわたっての調査研究がなされ、今も色褪せない「4%ルール」という方法があります。
「4%ルール」とは、形成した資産の4%を毎年取り崩し、残りは運用を継続していく方法のことです。
「4%ルール」の代表的な研究論文
「William Bengen 氏の研究論文」と米国トリニティ大学の研究論文「Trinity Study(トリニティ・スタディ)」2つの論文があります。
簡単に概要を見ていきましょう。
William Bengen 氏の研究論文
1994 年にWilliam Bengen 氏が発表した論文で
「取り崩し期間 30 年、資産配分を株式 50~75%(残りを債券)」とした場合、
過去の実績をシミュレーションすると、取り崩し率を「4%まで」にすれば失敗しない
というものです。
米国トリニティ大学の研究論文「Trinity Study(トリニティ・スタディ)」
1998年に米国トリニティ大学の教授3名により発表された論文です。
次の条件とした場合に、資産が残っている可能性を算出されています。
トリニティスタディの研究条件
- 100%株式
- 75%株式と25%債券
- 50%株式と50%債券
- 25%株式および75%債券
- 100%債券
- 15年間
- 20年
- 25年
- 30年
3%~12%
1926年~1995年
トリニティスタディ研究結果
ここで言う「成功」とは「30年後に資産が、売却開始時点の10%以上が残っていること」です。
「株式:債券=50:50」の黒い線グラフを基準に見ていくと、30年後に資産が残っている確率が90%を超えているのが、毎年資産の「3~4%」を売却する方法です。
この「William Bengen 氏の研究論文」と米国トリニティ大学の研究論文「Trinity Study(トリニティ・スタディ)」2つの論文に共通して挙げられている数値が「4%」であることから「4%ルール」となっています。
2020年現在でも「4%ルール」は生きているのか?
「4%ルール」両論文は、いずれも1900年代に発表された論文で、2020年現在も有効なのでしょうか?
「ザ・プアーズスイス氏」により、2020年1月にも更新し、「1871年~2019年」でシミュレーションした結果、4%ルールが2020年現在である今もなお有効であることの検証がなされています。
さらに研究は深堀りされており、次のことがわかっています。
・30年を超えて4%ルールを適用すると成功率が90%未満になる
・50年を超えると成功率が75%程度になる
・売却率を3.5%にすると「98%以上の成功率」
売却率を3.5%にすると、30年後以降も資産が残っている確率が98%以上であるならば、3%にしたらほぼ確実ではないでしょうか?
しかし、売却方法には「4%ルール」に代表する「定率売却」だけでなく「定額売却」と「期間指定売却」という方法もあります。
出口戦略は定率だけじゃない!「定額売却」「期間指定売却」という方法もある!
資産を売却する方法には、代表的な4%ルールという「定率売却」だけでなく、「定額売却」と「期間指定売却」という方法もあります。
指定した受取金額に相当する金額を「毎月」や「年金と同じように隔月」など、定期的に売却する方法。
1000円以上を1円単位で指定して売却します。
売却指定した投資信託銘柄の保有口数を、指定した割合の口数、「毎月」や「隔月」など、定期的に売却する方法。
0.1%~50%の範囲で、0.1%単位で指定して売却します。
売却指定した投資信託の保有口数を、最終受取年月までの売却回数で等分した口数を、「毎月」「隔月」など、定期的に売却する方法。
それぞれの方法と「3%ルール」を適用した定率売却を比較しながら、特徴を見ていきましょう。
失敗のリスクを極限まで減らした「3%ルール」を適用した取り崩しの適用例
「4%ルール」で、毎年資産の4%を取り崩していった場合、30年後に資産が10%以上残っている確率が98%です。
さらに失敗のリスクを限りなくゼロに近づけた「3%ルール」を適用した取り崩しの適用した場合、「受取金額」と「資産残高」の関係はどうなるのでしょうか?
3%ルールを適用した「定率売却」と「定額売却」および「期間指定売却」で、「受取金額」と「資産残高」がどう違うのかを比較しながら見ていきましょう。
定率売却(3%ルール)、定額売却、期間指定売却のシミュレーション条件
老後における資産運用を「継続する」「継続しない」の違いについても合わせて確認できるため、まずは「老後の資産運用を継続しない」=「基準価格に変更がない」場合を見ていきましょう。
- ポートフォリオは、トリニティスタディの中間を位置する「株式50%+債券50%」で運用を継続したと想定
- 投資信託購入商品の基準価格に変更がない
- 期間は、定年退職する70歳から30年間とし、100歳まで生きる想定
- 定率売却における取り崩し率は「3%」
- 定額売却における取り崩し金額は、生活費10万円とした場合に、年金(※)だけでは不足する分を補填する「6万円」
※・・・現在、所得代替率60%で8万円のため、所得代替率30%として、さらに半分の4万円
まとめると次のとおりです。
50%株式と50%債券
※投資信託の基準価格は上下しない
3%
30年
※70歳定年から100歳まで生きることを想定
60,000円
※年金の月平均4万円に追加で補填する金額
株式7%リターン、債券4%リターンを期待しない(基準価格が一定の)場合
「定率売却(3%ルール)」の受取金額と資産残高の推移
比較対象:「定額売却」の受取金額と資産残高の推移
比較対象:「期間指定売却」の受取金額と資産残高の推移
定額売却した場合と、期間指定売却は同じように見えますね。
ただし、老後資産を運用していくと株式は7%、債券は4%のリターンが期待できますので、より現実的な比較を見ていきましょう。
株式+債券の運用を続けて、毎年の3%リターンを期待する場合
続いて、「老後の資産運用を継続する」=「基準価格に変更あり」の場合を見ていきましょう。
50%株式と50%債券
3%
30年
※70歳定年から100歳まで生きることを想定
60,000円
※年金の月平均4万円に追加で補填する金額
「定率売却(3%ルール)」の受取金額と資産残高の推移
比較対象:「定額売却」の受取金額と資産残高の推移
あれ?
定率売却と変わらないですよね!?
老後も資産運用を継続していくことが良い、とされる理由がこれですね。
比較対象:「期間指定売却」の受取金額と資産残高の推移
「定率売却」と「定額売却」と「期間指定売却」はどれを選択すれば良いのか?
結局
- 4%ルールの「定率売却」
- 毎月定額が入る「定額売却」
- 指定した期間で現金化する「期間指定売却」
のどれを選択すればよいのかをまとめると次のとおりです。
いつまでも元気で、必要なときに必要な金額を売却できる健康状態なら良いですが、75歳から15%弱、85歳からは50%弱の確率で認知症になって介護のリスクも伴います。
そこで考えなければならないのは、自動で売却してくれるサービスを持つ証券会社を選択する必要があります。
「定率売却」「定額売却」「期間指定売却」に対応した証券会社は?
老後、4%ルールまたは3%ルール、定額売却で資産を取り崩していくのがわかりました。
しかし、そういった売却方法に対応した証券会社はあるのでしょうか?
手動で計算して毎月売却していくのは手間がかかってしまいます。
そこで、登場するのが証券会社の「定期自動売却」サービスを利用します。
<各証券会社の定期自動売却サービス>
楽天証券 | SBI証券 | マネックス 証券 | auカブコム 証券 | GMOクリック 証券 | DMM証券 | |
---|---|---|---|---|---|---|
定額自動売却 | 〇 | 〇 | × | × | × | × |
定率自動売却 | 〇 | × | × | × | × | × |
期間指定自動売却 | 〇 | × | × | × | × | × |
楽天証券は幅広い売却方法を選択できるようになっています。
一方、SBI証券では、「定額売却」のみです。上の比較結果でもわかるとおり、定額売却でもリターンを勘案すると十分に資産を保持した状態で運用できるため、定率売却は不要という考え方なのでしょう。主力のネット証券なので、今後サービスも期待できます。
「3%ルール」と「米国高配当ETFの配当」のハイブリット出口戦略【ぬくぬく案】
これまでの比較結果を受けて私の出口戦略は以下のとおりです。

ぬくぬくの資産運用の「基本的な考え方」は次のとおりです。
- 「自分で形成した資産は自分で使いたい」
- 「長生きリスクに対応したいが100歳までは生きられない」
- 「現在も給与の半分を貯蓄や投資に回せている(ネットで色々なエンターテイメントを享受できれば満足)」
- 「収入は一定額確保して安心したい」
- 「面倒くさいこと大嫌い」
「基本的な考え方」から導き出した私の資産運用の出口戦略は、現在の資産の積み上げ
「手数料無料で投資を自動化するマイ金融システムの作り方」
の逆を実施します。
❶SBI証券のつみたてNISAの投資信託
→「定額売却」で、年金額では不足する毎月の生活費の補填
❷SBI証券の米国ETF
→配当金を円転して生活費の補填
❸楽天証券の投資信託
→「定率売却」で3%ルールを適用し、“余裕資金”として、旅行代などの”遊び”に使う資金
これで100歳まで資産に余裕を持って生活できます!
「4%ルール」とは?100歳まで生きる資産運用の出口戦略! まとめ
いかがでしたでしょうか?
資産運用の出口戦略は「4%~3%ルール」を、
- 「どの証券会社で」
- 「どのサービスを使って」
- 「運用した資産をどう取り崩していけるのか」
のイメージがつきましたでしょうか?
将来、70歳から受け取る年金の補填として、運用してきた資産を取り崩して生活していく現実的な方法としては
- 長生きリスクに対応した「定率売却(4%ルール)」
- 現実的に年金額では生活に足りない額を補填していく「定額売却」
このいずれかを利用して出口戦略と、老後の生活を組み立てていきましょう!
以上、皆様の豊かな老後生活の一助になれば幸いです。
老後まで資産運用できるおすすめの証券会社であるSBI証券「資産運用」「投資」について深く知りたい方は30代でも遅くない!「資産運用」「投資」の始め方15ステップ!にまとめていますので是非ご一読ください!
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