就活や婚活、妊活、終活、朝活などは有名ですが「介活」というのもあることをご存知でしょうか?
今も終活は流行っていますが、「介活」は全く知られていません。
- 介活って何?
- 終活より先に考えた方がいいってホント!?
- 介活って、実際何をしたらいいの?
こんなお悩みにお答えします。
終活が終わって「もう人生の終焉に向けての準備は完璧!」と勘違いされていませんか?
と思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では終活で人生の終わりを考える前に、将来、4人に1人が受ける介護に向けて準備する「介活」について解説します。
将来、介護認定を受けるのは4人に1人ですので、今から準備していきましょう!
3分くらいで、介活がどんなものなのか、何をしたらいいのかがわかりますので、ご一読いただけますと幸いです。
介活(介護活動)とは?
介護活動
- 1日でも長く健康で自分らしく生活できる期間を延ばすための活動
- もし支援や介護が必要になったときにも、スムーズに個人やご家族の意志を尊重した公的サービスなどが受けられるよう、勉強や準備を進める
これらの総称が「介活」です。
介活の目的は?
介護活動の目的は、ご自身・ご家族の老後リスクを削減・軽減していくために行います。
介活で行うこと5つ
では、実際に介護活動は、具体的に何を行うのでしょうか?
介護活動では次の5つを行います。
1.「健康寿命」を延ばす
健康寿命
自立して生活できる期間のこと
健康寿命とは「WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間」のことです。
多少持病があっても、自分で病院へ通院できて、自分で衣・食・住を賄えれば、健康寿命の期間内です。
では健康寿命はどのくらいの時間があるのでしょうか?
男女の健康寿命の推移予測を見てみましょう。
男性の健康寿命の推移予測
下のグラフの青点が「平均健康寿命(男性)」です。
今30歳とすると、
- 2075年頃(83歳頃):平均健康寿命の83歳を迎える
- 2080年頃(90歳頃):介護が必要になって介護施設へ入所
- 2085年頃(95歳頃):平均介護期間の5年間を終えて平均寿命を迎えて天寿を全う
という予測になります。
女性の健康寿命の推移予測
下のグラフの赤点が「平均健康寿命(女性)」です。
今30歳とすると、
- 2075年頃(83歳頃):平均健康寿命の83歳を迎える
- 2080年頃(90歳頃):介護が必要になって介護施設へ入所
- 2085年頃(98歳頃):平均介護期間の8年間を終えて平均寿命を迎えて天寿を全う
という予測になります。
これらの平均健康寿命を踏まえて、
「介活」において実施することは次のような3点です。
2.「介護保険」や「介護休業」などの法律を勉強しておく
介護保険
介護休業
介護を受ける人、家族を介護する人を支える制度
もし、デイサービスや老人ホームなどの介護サービスを受けることを想定して
「介護保険」を勉強しておきましょう。
「介護保険」は超高齢化社会の必修科目!制度やサービスのキホンの“き”で詳しく解説していますので、ご一読ください。
また、自分が家族を介護する場合、色々と忙しくなるため、仕事を休む機会が増えます。
まとまった休みを取得できる「介護休業」と、令和3年1月1日から1時間単位で休みを取得できる
「介護休暇」を勉強しておきましょう。
介護離職を考える前に。「介護休暇」「介護休業」制度のキホンの“き”で分かりやすく解説していますので、お一読ください。
「介活」において実施することは次のような2点です。
3.「住まい」は自宅か介護施設か想定しておく
老後の住まい
- バリアフリー(住宅リフォームなど)
- 介護施設
将来自分が住む場所を自宅にするのか、介護施設にするのか考えておきましょう。
ぬくぬくは独り身で、兄弟にも迷惑をかけたくないので「介護施設」での生活を想定しています。
独り身で「身元保証人」が身近にいない場合でも民間の「保証人サービス」を利用すると保証人となって貰えますが、高いですし、期間が短いです。
こういった身寄りのない人への対応として、厚生労働省が
- 「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」
- 「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」(医政医発0427第2号平成30年4月27日)
として、身寄りのない人にも医療や介護サービスが受けられるように通達が出ています。
「介活」において“住まい”実施することは次の1点です。
4.「蓄財」して介護サービスを受ける資金を準備する
貯蓄・投資
- 国の介護保険制度が無くなる可能性
- 介護サービスの「居宅サービス」「施設サービス」いずれでも多額の費用が掛かる
介護保険制度は、将来無くなる可能性があることを想定しましょう。
となると、民間の介護サービスを利用することになるかもしれません。
民間の介護サービスは、平気で月30万円とかかかります。
先に示した「健康寿命」から
80~100歳にかけて「要介護」で老人ホームに入居した場合
30万円✖12か月×20年=7200万円
かかります。
老後2000万円どころではありません。
老後2000万円問題の件から、若いころから老後のために資産運用している人も増えていますが、1億以上の資産を持つ“億り人”ですら、場合によっては老後が脅かされる可能性がある、ということです。
「介活」において“蓄財”で実施することは次の1点です。
5.「介護を受ける心構え」を知っておく
介護を受ける
心構え
- 車いすへの乗降
- ベッドで起こしてもらう
- 排尿・排泄
- 食事支援
- 「ありがとう」の癖付け
介護を受ける心構えは次の5点です。
車いす移乗
「車いす」への移乗方法は、小学校で地べたから立ち上がらずに車いすへの移乗する経験をした方もいるのではないでしょうか?
そのときどれだけ苦労したか思い出してください。
起き上がり
ベッドで起こしてもらうのは介護が重度になると機会が増えますが、身体を触れられる機会が増えます。抵抗感がある方は慣れておきましょう。
排尿・排泄
排尿・排泄を支援してもらうこと。これが最も抵抗感があると思います。いざという時は覚悟を決めましょう。
排尿・排泄の介護を受けるのは、私も覚悟ができていないところです。
食事
食事も「あーん」で食べさせてもらうことになるかもしれません。
最初はお箸が持てなくなって、スプーンで食べるようになり、それすらできなくなったら「あーん」で介助を受けて食べることになります。
「ありがとう」
の癖付け
介護する側も人間です。感情があります。
良い人間関係を築けば、Win×Winでの関係を築けます。
人間関係(コミュニケーション)を良いものにする=「支えられ上手」になりましょう。
公的サービスだから「なんでもやってもらってあたりまえ」といった認識は間違いですので、今すぐ捨ててください。
介活ステージには「介護“前”の段階」と「介護段階」がある
「介活」には「介護“前”の段階」と「介護段階」があります。
介護前段階(要支援1~2まで)に行う介活
「介護前段階」は、健康寿命を延ばして、介護を受けなくても生活できる期間を長くする段階のことです。
「介護前段階」での介活では、具体的に次の3点を行います。
介護段階(要介護1~5)に行う介活
「介護段階」は、実際に介護サービスを受け、自分らしい生活をできるだけ長く継続する段階のことです。
「介護段階」での介活では、実際に次のような介護サービスを受けます。
実際にサービスを受けるだけでなく、介護を受ける人が、その人らしく生きていくために、健康状態や精神状態に応じて、サービスを切り替えることも行っていきます。
「介活ノート」のススメ
終活では「エンディングノート」がありますが、介活には「ケアノート」的なものはありませんが、「介活ノート」の作成をおススメします。
エンディングノートと同じように「自分が認知症になって判断できなくなった」などのときのために「どんな介護を受けたいか」を記した「介活ノート」を作成しておきましょう。
「介活ノート」に記載すべき内容は次の3つです。
介護基本7情報
介護基本7情報
【介護】老健や特養など介護施設入所手続きを効率化する7つの情報を参考に、家族構成や既往歴、好き嫌いをまとめておきます。
延命措置が必要か否か
延命措置
- 「延命措置を希望する・しない」
- 「見込みのない延命措置は希望しない」
- 「最大限の延命措置を希望する」
など延命措置が必要かを明記しておきます。
どんな高齢期を過ごしたいか
介護生活
- 「場所」は自宅か施設か
- 「設備」はテレビやインターネットなどどういった娯楽が必要か
- 「介護サービス」は食事宅配、訪問サービス(ヘルパー)、デイサービスを使うか
- 「施設」はどの身体・精神状態になったら入居するのか
などを記しておきます。
「介活ノート」に“介護基本7情報”、“延命措置が必要か否か”、“どんな高齢期を過ごしたいか”の3つが記載されていれば、突然あなたが介護が必要な状態になっても家族は困りません。
介活を円滑に進めるための心得「介活6か条」
介活については淑徳大学総合福祉学部教授の結城康博先生が
「支えられ上手になる方法」
として
「介活6か条」
を提唱されており、介活するうえでとても重要な指針ですので紹介します。
1.「支えられ上手」になろう
お金を払ってるからサービスを受けるのは当たり前、というおごり高ぶる考えや態度を捨てること。
介護士やヘルパーも人間です。
「あの人の介護はしてあげたい」と思われるような態度で接することで、よりよい関係を築きましょう。
感謝・礼節・尊敬の念を持って接していれば自ずと「ありがとう」という言葉が出てくるものです。
本記事では介護を受ける心構えとして「ありがとうの癖付け」として紹介しています。
2.介護施設の評判は「口コミ」で
実際にその施設を利用している方や、そのご家族やご友人から話を聞いてみると、介護施設でどういったサービスが行われているかが分かります。
私も、私自身が要介護状態になったら祖父が入っていた介護施設にお世話になりたいと考えています。
3.元気なときから家族と介護について「情報共有」しておこう
事故や認知症で自分が判断できなくなってからでは遅いです。
もし介護が必要になったときに
などを考えるだけでなく、身元引受人となる家族と情報共有しておきましょう。
終活で作ったエンディングノートの“介護版”である「介活ノート」を作って家族と共有しておきましょう!
4.介護保険の介護認定申請で必要な主治医の意見書のため「かかりつけ医」を作ろう
もし介護が必要になった場合、介護施設への入所を含む「介護サービス」を受けるためには、要介護認定の申請で「要支援1~2」「要介護1~5」の認定を市区町村から受ける必要があります。
要介護認定の申請には「主治医の意見書」の提出が必要です。
普段通っている病院の医師がいれば、その方がかかりつけ医になります。
幸い健康状態が良好で、かかりつけ医がいないなら、毎年健康診断や人間ドックを受けて、健康相談をしてくれる医師がかかりつけ医として関係を築いておきましょう。
5.相談できる人や相談できる機関など、「相談先」を知ってこう
いざ、介護が必要になったときに相談できる人が近くにいれば良いですが、近親者に医師や介護士などはいないことが多いでしょう。
身近に相談できる人がいない場合「地域包括支援センター」もしくは「市区町村の福祉課」へ相談しましょう。
ただ、場所によりますが、市区町村の職員はやたら忙しいので親身になって聞いてくれる印象は私個人としてはありません。
困ったときは「地域包括支援センター」へ相談しましょう。飛び入りでも全然相談に乗ってくれます。
6.健康寿命を延ばすため、情報収集の場として「仕事・ボランティア」をしよう
これは図らずとも皆さん思っているはずです。
「働けるうちは働く」
老後資金が足りない、もしくはあって困ることがないという観点からも、この意識はお持ちの方が多いでしょう。
セミリタイアしても、健康寿命を延ばすために働きましょう。
自分でネットビジネスを始めておくのも手ですね。
終活だけじゃたりない!「介活(介護活動)」を忘れていませんか? まとめ
いかがでしたでしょうか?
終活だけでなく「介護活動」についてもご興味を持っていただき、よりよい老後に向けての準備の手助けになれば幸いです。
それではかんたんにまとめていきましょう。
介活(介護活動)とは?
介活の目的は?
ご自身・ご家族の老後リスクを削減・軽減していくために行います。
介活で行うこと5つ
介活ステージには「介護“前”の段階」と「介護段階」がある
「介活ノート」のススメ
介活を円滑に進めるための心得「介活6か条」
以上、ご参考になれば幸いです。