世帯分離をすると介護費用が軽減できる場合があります。

- 世帯分離ってなに?
- 世帯分離するとお得って聞いたけど、何がどうお得なの?
こんなお悩みにお答えします。
どういった条件ならば世帯分離で介護費用が軽減できるのかを調べるのは中々大変ですよね。
という方が多いのではないでしょうか。
この記事では世帯分離のメリット・デメリットついて解説します。

ぬくぬくは図らずも世帯分離しており、介護費用の負担が軽減されていましたよー
10分くらいで、世帯分離して介護費用がどうなるのか、算出根拠となる条件も記載していますので、ご自分が世帯分離した方が得なのか、損なのかを判断できますので、ご一読いただけますと幸いです。
世帯分離とは

世帯分離とは?
- 世帯分離とは、住民票に記載されている1世帯を、別々の世帯に分けることです。
たとえば、結婚して親と世帯は分かれて、自分が世帯主になるけど、親と同居を継続する、というのがわかりやすい世帯分離ですね。
結婚ですと戸籍も変わりますが、親子間で生計が別であれば、住民票上の世帯分離で戸籍は変更されません。
世帯分離のメリット6つとデメリット3つ、注意事項1つ
世帯分離のメリットとデメリット、注意事項は次のとおりです。
- 介護サービス費の「利用者負担割合」を下げて自己負担を軽減できる
- 「高額介護サービス費」の支給で介護サービス費(介護費用・居住費・食費)を負担軽減できる
- 高額療養費制度の「自己負担上限額」を下げて医療費負担軽減できる
- 高額介護合算療養費制度(=高額医療合算介護サービス費)で年間負担額に応じた給付を受けられる
- 後期高齢者医療保険料の「均等割額」を減らして負担軽減できる
- 介護保険料の「負担段階」を下げて保険料の負担軽減できる
- 介護サービス費の「世帯合算」できなくなる
- 親を扶養に入れられない
- 市区町村役場での手続きなどが不便になる?
- 国民健康保険料の負担額が増える場合と減る場合がある
それではメリットとデメリットの詳細を見ていきましょう!
1.世帯分離のメリット6つ
世帯分離のメリット6つは次のとおりです。
- 介護サービス費の「利用者負担割合」を下げて自己負担を軽減できる
- 「高額介護サービス費」の支給で介護サービス費(介護費用・居住費・食費)を負担軽減できる
- 高額療養費制度の「自己負担上限額」を下げて医療費負担軽減できる
- 高額介護合算療養費制度(=高額医療合算介護サービス費)で年間負担額に応じた給付を受けられる
- 後期高齢者医療保険料の「均等割額」を減らして負担軽減できる
- 介護保険料の「負担段階」を下げて保険料の負担軽減できる
メリット①:介護サービス費の「利用者負担割合」を下げて自己負担を軽減できる

利用者負担割合を
下げる
- 世帯分離で世帯所得の判定を下げると、介護サービス費を負担額が減る
特別養護老人ホームなどで介護サービスを受ける際、介護保険申請すると「介護保険負担割合証」が交付されます。
医療保険と同じで、介護保険でも所得に応じた利用者負担割合が決定します。
「世帯分離するとお得!」と言われるゆえんは、
世帯分離することで世帯所得が下がった結果、この「介護サービス費の利用者負担割合」が、下がることによって、毎月の介護施設への支払いが減る
というものです。
では介護サービス費の「利用者負担割合」はどのように決定されるか見ていきましょう。
①-1.そもそも介護サービス費とは?
の料金表【利用者負担4段階】-1024x671.jpg)
介護サービス費は
- 要介護度
- 利用者負担割合
- 利用者負担段階
に応じて、
「介護費用」+「居住費」+「食費」(+日常生活費[ここでは省く])
の負担を求められます。
①-2.介護サービス費の「利用者負担割合」の判定は「本人収入」と「世帯所得」で決まる
厚生労働省に掲示されている介護サービス費の「利用者負担割合」の判定フローは次のとおりです。

フローチャートを一覧にすると次の表のとおりで、中でも世帯分離において注目すべきはポイントは「本人収入」です。
本人収入 | 条件1 合計所得金額 【本人】 | 条件2: 年金収入+合計所得金額 【単身世帯】 | 条件2: 年金収入+合計所得金額 【2人以上世帯】 | 介護サービス費 の利用者負担 割合 |
---|---|---|---|---|
120万円以下 | 160万円未満 | – | – | 1割負担 |
160万円以上 ~220万円未満 | ~280万円未満 | ~346万円未満 | 1割負担 | |
280万円未満 | 220万円以上 | ~280万円未満 | ~346万円未満 | 1割負担 |
160万円以上 ~220万円未満 | 280万円以上~ | 346万円以上~ | 2割負担 | |
340万円未満 | 220万円以上 | 280万円以上 ~340万円未満 | 346万円以上 ~463万円未満 | 2割負担 |
340万円以上 | 220万円以上 | 340万円以上~ | 463万円以上~ | 3割負担 |
単身世帯でも複数世帯でも「年金収入」が条件に入っているため、介護サービス費の負担割合はこの「年金収入」に依存します。
いくら世帯分離したところで、本人の年金等の収入金額が大きければ、
- 3割負担から2割負担へ
- 2割負担から1割負担へ
負担割合を減らせません。
参考:公的年金等の収入と所得の速算表(65歳以上)
公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 | 左記から計算した所得金額 |
---|---|---|
110万円以下 | 0円 | 110万円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額-110万円 | 0~220万円 |
330万円以上410万円未満 | 収入金額×0.75-27万5千円 | 220~280万円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×0.85-68万5千円 | 280~586万円 |
770万円以上1000万円未満 | 収入金額×0.95-145万5千円 | 586~804.5万円 |
1000万円以上 | 収入金額×1-195万5千円 | 804.5万円以上 |
したがって介護サービス費「利用者負担割合」の分岐点は次のとおりです。
①-3.介護サービス費「利用者負担割合」の分岐点
世帯分離することによって、介護サービス費の「利用者負担割合」が下がるのは、介護認定を受けた本人の年金収入が次の場合です。
介護サービス費利用者負担割合の「1割負担」「2割負担」「3割負担」の分岐点はそれぞれ
- 1割負担・・・年金収入=280万円未満
- 2割負担・・・年金収入=340万円未満
- 3割負担・・・年金収入=340万円以上
※年金収入が330万円で、同一世帯で別の10万円でも所得があると「3割負担」になりますが、世帯分離することで「2割負担」になります。
では実際にいくら負担が減るのかを見ていきましょう。
①-4.介護サービス費の「利用者負担割合」別で実際に軽減できる金額は?
介護サービス費は「利用者負担割合」と「要介護度」に応じて、月額料金が異なります。
利用者負担割合を
- 「3割負担から2割負担に」
- 「2割負担から1割負担に」
できれば毎月¥30000程度の負担軽減が見込めます。
介護サービス費の 利用者負担割合 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
---|---|---|---|---|---|
1割負担 | ¥24,316 | ¥26,607 | ¥29,104 | ¥31,429 | ¥33,721 |
1割負担 | ¥24,316 | ¥26,607 | ¥29,104 | ¥31,429 | ¥33,721 |
1割負担 | ¥24,316 | ¥26,607 | ¥29,104 | ¥31,429 | ¥33,721 |
2割負担 | ¥48,631 | ¥53,213 | ¥58,207 | ¥62,857 | ¥67,441 |
2割負担 | ¥48,631 | ¥53,213 | ¥58,207 | ¥62,857 | ¥67,441 |
3割負担 | ¥72,946 | ¥79,820 | ¥87,310 | ¥94,285 | ¥101,162 |
世帯分離によって、最も高いユニット型の特別養護老人ホームで、介護サービス費の利用者負担割合が1割減れば、毎月3万円程度負担を減らせます。
メリット②: 「高額介護サービス費」の支給で介護サービス費(介護費用・居住費・食費)を負担軽減
介護サービス費(介護費用・居住費・食費)の自己負担金額が高額になると
「高額介護サービス費の支給」
があり、負担限度額を超えた金額は還付されます。

健康保険における高額療養費制度ですね。
具体的には「高額介護サービス費支給申請」を行うと、次のような通知書が来ます。
「高額介護サービス費」の支給を受ける際、
世帯分離で「支給限度額基準額(=自己負担限度額)」をいかに減らせるか
が鍵です。
高額介護サービス費の支給の判定基準は
- 介護費用
- 居住費
- 食費
それぞれに設定されています。
しかし、あくまで低所得者向けの補助ですので、世帯分離という観点では該当者が少ないと思いますが、判定基準を見ていきましょう。
②-1.「介護費用」の自己負担限度額
「介護費用」は、所得段階に応じて、月額の自己負担限度額が設定されています。


多くは第4段階で、市町村民税が課税されているのではないでしょうか?
世帯分離して、
- 「市町村民税課税世帯から生活保護受給者になる」
- 「市町村民税が非課税になる」
なら「介護費用」は¥10,000円程度負担軽減になります。
上の資料ですと「所得段階」が明記されていませんので、所得段階を追加すると次の表になります。
所得段階 | 所得区分 | 【月額負担限度額】 個人単位 | 【月額負担限度額】 世帯単位 |
---|---|---|---|
第1段階 | 生活保護受給者等 | ¥15,000 | ¥24,600 |
第2段階 | 世帯全員が市町村民税非課税で、 公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下 | ¥15,000 | ¥24,600 |
第3段階 | 世帯全員が市町村民税非課税 | ¥24,600 | ¥24,600 |
第4段階 | 市町村民税課税世帯 | ¥44,400 | ¥44,400 |
参考:生活保護目安収入はいくら?
下表の「生活扶助基準額の例」の一覧にあるとおりの月収以下であれば、生活保護を受けられ「生活保護受給者」となります。

②-2.「居住費」の自己負担限度額
「居住費」は、所得段階と介護施設のサービス形態に応じて、月額の自己負担限度額が設定されています。
もし世帯分離して、
- 「市町村民税課税世帯から生活保護受給者になる」
- 「市町村民税が非課税になる」
なら「居住費」は毎月¥20,000円程度負担軽減になります。
利用者 負担段階 | 所得区分 | 多床室 (特養) | 多床室 (特養 以外) | 従来型 個室 (特養) | 従来型 個室 (特養 以外) | ユニット 準個室 | ユニット 個室 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第1段階 | ・生活保護受給者 または ・市町村民税非課税の 老齢福祉年金受給者 | ¥0 | ¥0 | ¥10,000 | ¥15,000 | ¥15,000 | ¥25,000 |
第2段階 | ・市町村民税非課税世帯 かつ ・課税年金収入額+ 合計所得金額が80万円以下 | ¥11,000 | ¥11,000 | ¥13,000 | ¥15,000 | ¥15,000 | ¥25,000 |
第3段階 | ・市町村民税非課税世帯 かつ ・第2段階以外 | ¥11,000 | ¥11,000 | ¥25,000 | ¥40,000 | ¥40,000 | ¥40,000 |
第4段階 | 市町村民税課税世帯 | ¥26,000 | ¥11,000 | ¥35,000 | ¥50,000 | ¥50,000 | ¥60,000 |
②-3.「食費」の自己負担限度額
「食費」は、所得段階に応じて、月額の自己負担限度額が設定されています。
もし世帯分離して、
- 「市町村民税課税世帯から生活保護受給者になる」
- 「市町村民税が非課税になる」
なら「食費」は毎月¥3,000~¥22,000円程度負担軽減になります。
利用者負担段階 | 所得区分 | 食費(自己負担限度額) |
---|---|---|
第1段階 | ・生活保護受給者 または ・市町村民税非課税の老齢福祉年金受給者 | ¥9,000 |
第2段階 | ・市町村民税非課税世帯 かつ ・課税年金収入額+合計所得金額80万円以下 | ¥12,000 |
第3段階 | ・市町村民税非課税世帯 かつ ・第2段階以外 | ¥20,000 |
第4段階 | 市町村民税課税世帯 | ¥42,000 |
世帯分離することで、生活保護受給者や市町村民税非課税世帯になれば、「介護費用は10,000円」「居住費は20,000円」「食費は3,000~10,000円」が、毎月の自己負担金の上限が下がります。
メリット③: 高額療養費制度の「自己負担上限額」を下げて医療費負担軽減
「高額療養費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費(自己負担額)が、所得に応じて設定された月額上限を超えた場合に、超えた金額を支給される制度のことです。
高額療養費制度は本人所得と世帯で「自己負担上限額」が決められています。
世帯分離をして、所得判定が下がり、所得区分が下がれば、月額の限度額が下がります。
所得区分 | 年収(概算) | 月額 自己負担限度額 計算式 | 多数回該当 自己負担限度額 (過去12か月以内に 4か月以上限度額を 超えた場合) |
---|---|---|---|
690万円以上 | 1160万円 | 252600+(医療費-842000)✖1% | 140100円 |
380万円以上 | 770~1160万円 | 167400+(医療費-558000)✖1% | 93000円 |
145万円以上 | 370~770万円 | 80100+(医療費-267000)✖1% | 44400円 |
145万円未満 【単身世帯】 383万円未満 【複数世帯】 世帯収入合計520万未満 | 156~370万円 | 世帯:57600 ※70歳以上個人:18000 | 70歳未満:44400円 |
住民税非課税世帯 | 住民税非課税世帯 | 70歳以上世帯:24600 70歳以上個人:8000 70歳未満世帯:35400 | 70歳未満:24600円 |
住民税非課税世帯 (収入80万円以下) | 住民税非課税世帯 (収入80万円以下) | 70歳以上個人:8000 70歳以上世帯:15000 70歳未満世帯:35400 | 70歳未満:24600円 |
例えば、
- 「世帯主70歳以上:年金収入290万円」+「世帯員:年収700万円」の家庭
- 介護施設と病院への入院を繰り返している場合、
- 1回の窓口負担(医療費のみ、差額ベッド代等を除く)が20万円
とすると
世帯分離していない場合
[自己負担額]200,000円
ー [自己負担限度額]57,600
= 142,400円
で、142,400円が高額療養費制度で還付されます。
世帯分離している場合
[自己負担額]200,000円
- [自己負担限度額]18,000
= 182,000円
で、182,000円が高額療養費制度で還付されます。
トータル4万円程度負担軽減されることになります。
入退院を繰り返しているような世帯では、世帯分離によって、高額療養費制度で自己負担限度額が下がりますので、場合によっては4万円程度負担を減らせます。
メリット④: 高額介護合算療養費制度(=高額医療合算介護サービス費)で年間負担額に応じた給付を受けられる
高額介護合算療養費制度とは、世帯で介護保険適用者がいる場合、世帯で自己負担する「介護保険」+「医療保険(後期高齢含む)」の限度額を設定し、それを超えた負担分は、還付を受けられる制度です。
毎年8月~7月分を、翌年4月に、上限額を超えて負担した介護サービス費+医療費を給付してくれます。(市区町村による)
先に示した「高額介護合算療養費・高額医療合算介護サービス費の支給通知書」が4月ごろに届きます。
高額介護合算療養費制度も世帯と所得段階に応じて年間上限額が異なります。
具体的には次の表のとおりです。
所得区分 | 所得 | 年収(概算) | 限度額 |
---|---|---|---|
市町村民税非課税世帯 (介護保険複数) | 690万円以上 | 1160万円~ | 212万円 |
市町村民税非課税 | 380万円以上 | 770~1160万円 | 141万円 |
一般 | 145万円以上 | 370~770万円 | 67万円 |
現役並み | 145万円未満 【単身世帯】 383万円未満 【複数世帯】 世帯収入合計520万未満 | 156~370万円 | 56万円 ※70歳未満は60万円 |
現役並み | 住民税非課税世帯 | 住民税非課税世帯 | 31万円 ※70歳未満は34万円 |
現役並み | 住民税非課税世帯 (収入80万円以下) | 住民税非課税世帯 (収入80万円以下) | 19万円 ※70歳未満は34万円 |
世帯分離で、
- 単身世帯となって収入が370万円未満になる
なら、
介護サービス費+医療費の自己負担上限が10万円以上減りますので、年間10万円以上得するかたちになります。
世帯分離で年間の自己負担限度額が下がりますので、場合によっては年間10万円程度多く給付を受けられる可能性があります。
メリット⑤: 後期高齢者医療保険料の「均等割額」を減らして負担軽減できる
世帯分離でのポイントは「均等割額」が世帯所得に応じて軽減措置があります。
後期高齢者医療保険料の「均等割額」の軽減措置について見ていきましょう。
後期高齢者医療保険料の「均等割額」軽減措置
後期高齢者医療保険料の「均等割額」の軽減措置は世帯の合計所得によって決まります。
次の表は「軽減割合」と「世帯の合計所得」は引用したもの、
「判定差引額」と「収入」については私が算出したものです。
軽減割合 | 世帯の合計所得 (世帯主と被保険者により判定) | 判定差引額 【単身世帯】 | 判定差引額 【2人世帯】 | 収入 【単身世帯】 | 収入目安 【2人世帯】 |
---|---|---|---|---|---|
7割軽減 | [基礎控除額(33万円)]を超えない世帯 で、 被保険者全員が年金収入80万円以下の世帯 (その他の各種所得がない場合) | 33万円 | 33万円 | 80万円 | 80万円 |
7.75割軽減 | [基礎控除額(33万円)]を超えない世帯 | 33万円 | 33万円 | 143万円 | 143万円 |
5割軽減 | [基礎控除額(33万円) +28万5千円×被保険者数] を超えない世帯 | 61.5万円 | 90万円 | 171.5万円 | 200万円 |
2割軽減 | [基礎控除額(33万円) +52万円×被保険者数] を超えない世帯 | 85万円 | 137万円 | 195万円 | 247万円 |
収入目安【2人世帯】については、あくまで目安です。夫は国民・厚生年金、妻は国民年金だけ、となるとバランスが多種多様なのであくまでご参考まで。
世帯分離後、年収195万円以下になれば、後期高齢者医療保険料を2~7割負担を減らせます。
メリット⑥: 介護保険料の「負担段階」を下げて保険料の負担軽減できる
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介護保険料
- 所得に応じて介護保険料が異なります。
- ただし、介護保険料は市区町村によって異なります。
参考までに、宇都宮市の介護保険料を見てみましょう。

基準となる介護保険料は「第5段階」で、世帯の所得に応じて介護保険料の負担額が変わります。
後半を見ると「本人所得」に依存しますので、
世帯分離することで
「市区町村民税が非課税になる」くらいでなければ、
介護保険料の負担は減りません。
世帯分離で「市民税非課税となる」などで、負担段階が下がれば、毎月1万円前後負担が減ります。
2.世帯分離のデメリット3つ
世帯分離のデメリット3つは、次のとおりです。
- 介護サービス費の「世帯合算」できなくなる
- 親を扶養に入れられない
- 市区町村役場での手続きなどが不便になる?
デメリット①: 介護サービス費の「世帯合算」できなくなる
上で示した「高額介護サービス費」と「高額療養費制度」は世帯の負担額を合算して、負担上限額や上限を超えて負担した金額の支給がありました。
世帯分離してしまうと、個々に負担上限額などが設定されて、
自己負担額の上限が上がってしまう(より多く自己負担しなければならない)ため、
その恩恵を受けられません。
- 介護保険の被保険者が2名以上
- 要介護度が高い
などの場合は、
世帯分離しない方が世帯の介護サービス費+医療費の上限が低く設定されます(より多く自己負担しなければならない)。
デメリット②: 親を扶養に入れられない
「扶養」と言っても2種類あります。
②-1.税法上の扶養

所得税の扶養控除
- 所得税の扶養控除として入れられるのは
「年金収入158円以下(65歳以上)」です。 - ※給与所得であれば、103万円以下です。
扶養している事実があれば、同居でなくても問題ありません。
扶養として入れる場合、
- 扶養者は所得税で扶養控除を受けられるため、
- 被扶養者は所得税・住民税の負担がなくなります。
②-2.健康保険上の扶養

健康保険の扶養
- 健康保険の扶養として入れられるのは「年収180万円未満(60歳以上)」です。
- 実の父母であれば同居している必要はありません。
- 義理の父母だと同居している必要があります。
被扶養者は健康保険料に加え、扶養者が加入している健康保険で医療費が補助されるところもあると思います。
デメリット③: 市区町村役場での手続きなどが不便になる?
これは市区町村役場によります。

私が住んでいる市では、世帯分離していましたが、住民票や戸籍など、委任状なしで取得できましたよー。
3.世帯分離の注意事項1つ
世帯分離の注意事項が1つあります。
- 国民健康保険料の負担額が増える場合と減る場合がある
注意事項①:国民健康保険料の負担額が増える場合と減る場合がある
で計算してみてください。
「平等割」と言って1世帯あたりの固定額が追加されます。
それを計算していくと、結果、トータルの金額が増える場合と減る場合があります。
例えば
世帯員1:「65歳以上の年金収入290万円」
+
世帯員2:「40~64歳の給与所得550万円」
が同一世帯の場合

586,615円の国民健康保険料(年間)の負担額ですが、
この世帯を世帯分離した場合
世帯員1:172895円(年間)
世帯員2:440720円(年間)
合計:613615円(年間)
ですので、この場合ですと年間27000円負担が増えます。
しかし、上で書いてきましたが、このケースで世帯分離すると介護サービス費で毎月3万円、年間36万円の負担軽減を受けられますので、トータルで考えると国民健康保険料の負担が増えても世帯分離すべき、とわかると思います。
世帯分離で介護・保険費用軽減するメリット6つと確認すべきデメリット3つ まとめ
いかがでしたでしょうか?
収入や世帯構成にもよりますが
- 片親であれば世帯分離すれば本人収入のみで負担割合や負担上限が下がるので、メリットの方が大きいです。親子であれば世帯分離一択です。
- 夫婦世帯でそれぞれを世帯分離するのは、介護リスク(両方とも介護施設に入所する可能性)を勘案すると、夫婦間で世帯分離はおススメしません。
上に掲載してきた計算根拠をもとに、ご自分の負担額を計算比較して選択してください。
その他参考リンク
厚生労働省 高齢者医療制度 2.後期高齢者医療の保険料について 3.医療費の自己負担について 高額療養費制度、自己負担割合、高額介護合算療養費・高額医療合算介護サービス費
後期高齢者医療保険料 東京都後期高齢者医療広域連合 保険料計算例
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