現在、30歳代の人が65歳になるのは2050年です。
そのころ、日本国民の10人に1人が「介護保険」のサービスを受けることになります。
介護保険ってよくわからない。
もし、親の介護が必要になったときどうすればいいの?
介護保険のサービスにはどんなものがあって、どのくらい費用がかかるの?
こんなお悩みにお答えします。
介護保険制度は複雑で分かりにくいですよね。
という方が多いのではないでしょうか。
この記事では、介護保険制度を分かりやすく、利用者視点でポイントとなる部分を解説します。
実際に、ぬくぬくの祖父が介護保険サービスを利用していた事例も交えてお伝えしています。
5分くらいで、介護保険を利用するにあたって必要なポイントをまとめて理解できますので、ご一読いただけますと幸いです。
介護保険とは?
介護保険とは、40歳になると自動加入する保険で、
ために必要な保険のことです。
介護保険の「対象者」
介護保険の介護サービスを受けられる対象者は、次の2パターンです。
対象①:65歳以上の人
65歳以上の人は、無条件に介護保険制度における第1号被保険者として、介護保険の対象となります。
対象②:40~64歳の医療保険加入かつ特定疾病者
40~64歳で、医療保険加入している「特定疾病」の人(第2号被保険者)が、介護保険の対象となります。
「特定疾病」は、次の16つの病気がとなり、40~64歳の第2号被保険者でも介護保険サービスを受けることができます。
がん | 関節リウマチ | 筋萎縮性側索硬化症 | 後縦靱帯骨化症 |
骨折を伴う骨粗鬆症 | 初老期における認知症 | 進行性核上性麻痺 大脳皮質基底核変性症および パーキンソン病 | 脊髄小脳変性症 |
脊柱管狭窄症 | 早老症 | 多系統萎縮症 | 糖尿病性神経障害 糖尿病性腎症および 糖尿病性網膜症 |
脳血管疾患 | 閉塞性動脈硬化症 | 慢性閉塞性肺疾患 | 両側の膝関節または 股関節に著しい変形を伴う 変形性関節症 |
介護保険と健康保険の被保険者の違い
「介護保険」となじみ深い「健康保険」とでは、被保険者が異なります。
具体的には次の表のとおりです。
加入者 | 介護保険 | 健康保険 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 65歳以上の人 | 国民健康保険加入者 |
第2号被保険者 | 40歳~64歳の医療保険加入者 | 社会保険(健康保険)加入者 |
第3号被保険者 | - (該当なし) | 社会保険加入者の被扶養者 |
介護保険の「介護保険料」の支払い
介護保険の保険料は
しています。
40~64歳の人(=第2号被保険者)の介護保険料
40~64歳(=第2号被保険者)の人
- 健康保険の保険料と一緒給与天引されて支払い
- サラリーマンなどの社会保険(健康保険)加入者は、医療保険と同様に労使折半(会社が半分、あなたが半分)
- 自営業などの国民健康保険加入者は、国民健康保険料と合わせて支払い
65歳以上の人(=第1号被保険者)の介護保険料
65歳以上(=第1号被保険者)の人
- 年金から天引き
- 年金を繰り下げ(先延ばし)受給している場合、年金天引ではなく、市区町村から介護保険料の納付書や口座振替で支払い
参考リンク介護保険料はいつからいくら払う?40歳から!!手取収入減で投資計画への影響は?
「要介護認定」を受けて介護サービスを受ける流れ6ステップ
介護サービスを受けるには「要介護認定」を受ける必要があります。
- ステップ1地域包括支援センターや市区町村(介護窓口)へ相談
お近くの地域包括支援センターへ
「介護が必要な家族がいるので、相談させてください」
のような形で相談してください。お近くの地域包括支援センターは
- 当ブログ「地域包括支援センター一覧」
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」
- エーザイが提供する「地域支援MAP」
などから確認してください。
- ステップ2市区町村窓口へ「要介護認定」の申請
市区町村窓口へ申請します。
申請に必要なものは
- 国民健康保険(第1号被保険者)の人は
「介護保険被保険者証」 - 健康保険(第2号被保険者)の人は
「医療保険の被保険者証」
です。
- 国民健康保険(第1号被保険者)の人は
- ステップ3認定調査
市区町村窓口職員などの認定調査員から介護を受ける人・その家族へヒアリングがあります。
かかりつけ医が意見書を作成します(本人や家族がすることはない)
- ステップ4審査・認定(30日以内に判定される)
介護認定審査会にかけられます。
ここで要支援1~2、要介護1~5の判定を受けます。
- ステップ5ケアプラン作成
要介護1~5と判定された場合、ケアマネージャーと相談して「介護サービス計画(ケアプラン)」を作成してもらいます。
- ステップ6サービス利用開始
「介護保険被保険者証」「介護保険負担割合証」が申請した市区町村から届いたら介護サービス利用開始です。
ぬくぬくは祖父の終活で、この介護保険証が届く前に介護老人保健施設と介護老人福祉施設に施設介護の相談をしました。
「大体要介護4~5だろう(この状態で3はありえない)」と聞いていましたし、施設に相談しても同様の判断でした。
参考リンク【実体験】老健(介護老人保健施設)への入所手続きの流れを解説!
「要介護度7段階」の目安
「要介護度7段階」の要支援1~2、要介護1~5の目安は次の表のとおりです。
要支援も要介護も数字が大きくなればなるほど「重度」となります。
例えば、排尿・排便が自分でできれば「要介護3」、排尿・排便に介助が必要なら「要介護4」となります。
ぬくぬくの祖父は要介護認定を受けたとき
- 「食事が自分でできない」
- 「立てない」
- 「車いすへの移乗ができない(寝たきり)」
だったので「要介護5」でした。
要介護度がどれくらいかを「トリケアトプス」で調べてみよう!
もし身近の方の要介護度がどれくらいなのかを調べたい場合、
『トリケアトプス』のサービス(岡谷システム株式会社)で
「要介護認定一次判定」
を公開してくれていますので、これで大体どのくらいの要介護度かを確認できます。
同じようなことを「調査・認定」のステップで、市区町村窓口職員などの認定調査員からヒアリングがありますので、要介護認定を申請する前に確認しておくと事前に準備ができますよ。
介護保険の「介護保険負担割合証」
介護保険で要介護度が認定されると「介護保険負担割合証」を取得できます。
介護保険負担割合証には「利用者負担割合」が記載されており、所得に応じて、受ける介護サービスの負担割合が1~3割が決まります。
例えば
- 年齢が65歳で
- 年金収入が「280万円」で
- 単身世帯(世帯分離済みも含む)
である場合、「2割負担」となります。
介護保険の「負担限度額認定証」
介護保険では、「低所得者」のかたのために、「負担限度額認定証」を申請できます。
「負担限度額認定」を申請できる条件
介護保険の「負担限度額認定」を申請できる条件は次の2点です。
介護保険の「負担限度額認定」を申請できる条件
- 「住民税非課税世帯」もしくは「生活保護受給世帯」であること
- 預貯金等が「配偶者無しで1,000万円以下」「配偶者ありで合計2,000万円以下」
介護保険の「負担限度額認定」を申請しない または 条件を満たしていないことから申請できない場合は利用者負担限度額認定は「第4段階」となります。
参考リンク介護保険の『負担限度額認定』とは?
参考:「住民税非課税世帯」の目安
住民税非課税となる目安は次のとおりです。
もちろん、配偶者有無や、扶養している子の有無などで変わります。
参考:「生活保護受給世帯」の目安
生活保護の目安は次のとおりです。
生活保護は、配偶者有無だけでなく地域差によって生活扶助金額が変わります。
参考までに厚生労働省の資料には次のとおりとなっています。
介護保険で受けられる「介護サービス」6種類
介護保険で受けられる「介護サービス」は大きく分けて6つあります。
介護保険で受けられる「介護サービス」6種類
- 住宅改修
- 福祉用具
- 訪問介護
- 通所介護
- 短期滞在介護
- 施設介護
介護サービス6つそれぞれの特徴は次のとおりです。
①住宅改修費支給
自宅の手すり取り付けや段差の解消など一定の住宅改修費の一部が支給されます。
②福祉用具レンタル
自立した日常生活を送れるように
「車いす」や「歩行器(杖)」などを
レンタルできます。
③訪問介護
ホームヘルパーに自宅へ来ていただき
・「食事」「排泄」「入浴」などの身体介護
・「調理」「選択」などの生活援助
・通院のための車への乗降介助
などのサービスを利用できます。
④通所介護
デイサービスや老人保健施設などに通って
・「食事」「排泄」「入浴」などの身体介護
・リハビリなどの機能訓練
などのサービスを利用できます。
⑤施設介護(短期)
介護老人保健施設などに短期入所して
・「排泄」「入浴」などの身体介護
・「食事」などの日常生活の支援
・リハビリなどの機能訓練
などのサービスを利用できます。
⑥施設介護
介護老人福祉施設などに入所して
・「排泄」「入浴」などの身体介護
・「食事」などの日常生活の支援
・リハビリなどの機能訓練
・健康管理
などのサービスを利用できます。
介護サービスの介護度・サービス・料金一覧表
介護サービス それぞれのサービスで対象となる要介護度と費用相場が異なります。
かんたんにまとめると次表のとおり。
参考リンク特養(特別養護老人ホーム)の「入所条件」と「料金」を実体験で解説!
参考リンク老健(介護老人保健施設)の「入所条件」と「料金」を実体験で解説!
「居宅サービス(訪問介護など)」で自己負担金額が介護保険適用になる上限金額
訪問介護などの「居宅サービス」では、介護保険負担割合証の「1割~3割」それぞれで、介護保険が適用される自己負担金額の上限金額が決まっています。
例えば、
- 利用者負担割合が1割
- 要介護度が3
の場合、
訪問介護などの「居宅サービス」を介護保険適用で受けられるのは
- 269,310円まで(自己負担額26,931円)
で、
自己負担の上限額を超える居宅サービスを受ける場合、全額自己負担となります。
「施設サービス(特養や老健など)」の自己負担限度額
特養や老健の「施設サービス」は、介護保険負担限度額認定の「第1~4段階」それぞれで、自己負担金額の上限金額が決まっています。
実際に私の祖父の例でを見てみましょう。
「施設サービス(特養)」の「負担限度額認定が第4段階」「要介護5」で、ある月の特養の請求書です。
介護サービス費は、63,165円です。
これは介護サービスを受ける本人の健康状態や要介護度によって料金が変わります。
「負担限度額認定の第4段階」で「要介護5」の自己負担上限は「44,400円」です。
差額の「18,765円」は後述する「高額介護サービス費」として後日支給を受けることができます。
- 食費は基準価格ぎりぎりいっぱいの「1380円✖31日=42,780円」
- 居住費は基準価格ぎりぎりいっぱいの「1970円✖31日=61,070円」
です。
両方とも自己負担上限ちょうどピッタリです。
「高額介護サービス費」は施設サービス(特養や老健など)」の自己負担限度額を超えた分が支給される
特養や老健の「施設サービス」で自己負担限度額を超えた分は「高額介護サービス費」が支給されます。
実際に私の祖父の例を見てみましょう。ある月の「高額介護サービス費支給通知書」です。
先述したとおり、差額の「18,765円」が「高額介護サービス費」として翌月末に支給を受けることができました。
健康保険の「高額療養費制度」の「介護保険版」と認識すれば良いです。
「介護保険」は超高齢化社会の必修科目!制度やサービスのキホンの“き” まとめ
介護保険について、何となくでもご理解いただけましたでしょうか?
それではかんたんにまとめていきます。
「要介護認定」を受ける流れ6ステップ
- 地域包括支援センターや市区町村(介護窓口)へ相談
- 市区町村窓口へ「要介護認定」の申請
- 認定調査
- 審査・認定(30日以内に判定される)
- ケアプラン作成
- サービス利用開始
介護保険申請で要介護認定で決定される「要介護度7段階」の要支援1~2、要介護1~5の目安は次のとおりです。
「介護保険負担割合証」に記載されている利用者負担割合の1~3割の決まり方は次のとおりです。
「負担限度額認定証」の第1~3段階と認定無し(第4段階)の決まり方は次のとおりです。
介護サービス6種類の対象要介護度と費用相場の一覧は次のとおりです。
「居宅サービス(訪問介護など)」で自己負担金額が介護保険適用になる上限金額は次のとおりです。
「施設サービス(特養や老健など)」の自己負担限度額を超えると「高額介護サービス費」制度で、次の表のとおり超えた分が支給されます。
介護に関する記事は以下のとおりまとめています。
以上です。ご参考になれば幸いです。