何らかの理由で入院して、「退院後に介護が必要になりそう」という事態になってしまった場合、
- 仕事はやめられない
- 共働きで、どちらかが仕事をやめなければならない(介護離職)
- 試しに1か月間介護をやってみて決めよう
- 介護サービスを利用しよう
などなど、いろいろな考えが浮かんできます。
「特別養護老人ホームの入所」ができれば良いですが、すぐに入れないのは周知の事実。
そこで登場する一案が「介護老人保健施設」です。
その入所までどういった流れで手続きを行っていったか、私の体験談をお伝えしていきます。
介護老人保健施設への入所手続きの流れ
1.介護老人保健施設とは?
そもそも介護老人保健施設とは、
入所者が自宅に帰って生活ができるようになることを目指す「リハビリ」をメインにする施設
です。
したがって、入所するために、以下の前提条件が発生します。
- 日常の医療行為は不要であること
- 長期滞在はできない
2.介護老人保健施設入所までの流れ
介護老人保健施設への入所までの概要は次のとおり。
- 市区町村役場、地域包括支援センターへ介護認定申請
- 介護老人保健施設へ相談
- 介護老人保健施設ケアマネージャーと面談
- 面談後、介護老人保健施設内の見学
- 介護老人保健施設内で判定会議
- 介護老人保健施設への入所決定
- 介護老人保健施設へ介護タクシーで移動
- 介護老人保健施設と打合せ(介護方針協議)
- 介護老人保健施設内の部屋の設置
- 介護老人保健施設の入所後手続き
では具体的にそれぞれのステップで何をするのか見ていきましょう。
1.市区町村役場、地域包括支援センターへ介護認定申請
市区町村窓口(介護福祉課など)へ電話連絡します。
介護福祉課からは、地域包括支援センターを紹介されますので、そちらにも連絡します。
それぞれの役割分担は
- 介護福祉課:介護保険証発行
- 地域包括支援センターケアマネージャー:介護被保険者へのヒアリング、要介護度の判定材料準備
です。
このお二方と協業で手続きを進めていき、「介護保険被保険者証」を取得します。
「介護保険被保険者証」には「介護度」が記載されており、
要介護1~5、要支援1~2のランク付けがあります。
状態が重い順番で
要介護5>4>3>2>1>要支援2>1
の順番で、
介護老人保健施設への入所条件は要介護5~1
です。
ただし、私の祖父が入所していたのは9割が要介護5~3の方でした。
2.介護老人保健施設へ相談
無事「介護保険被保険者証」を取得出来たら、介護保険施設へ電話相談します。
インターネットでお近くの介護老人保健施設を探して、目ぼしい3つくらいの施設に連絡します。
すると
「一度来訪いただいてお話させてください」
という話になりますので、日程調整します。
事前に準備しておく資料として下記の記事をご確認ください。
3.介護老人保健施設ケアマネージャーと面談
次の内容について確認があります。
②.常用している薬
③.仕事
④.人柄
⑤.趣味・嗜好
⑥.日常生活サイクル
⑦.家族構成
これと合わせて、施設の概要を説明いただけます。
「施設への入所申込書」
も受領できますので、もらったら書いて申請します。
申請して入所承認が下りても、
「別の施設への入所が決まりまして」
と説明すれば、入所をキャンセルできます。(むしろ普通)
4.面談後、介護老人保健施設内の見学
面談後
「施設内を一回り見ていきましょう」
という話になります。
私がポイントにしていたのは次のとおり。
- 入所した際に、どこに何を設置するか(日用品、衣類、TVなど)
- 多床室の雰囲気
- 匂い
入所した際に歯ブラシなどの日用品、収納ケース必要有無、TV台の必要有無などを確認します。
多床室の雰囲気は、入居者が雰囲気よく生活しているか、入所者が馴染めるかなどの材料にします。
匂いは、その施設の対応をありありと表していると思います。介護は糞尿との闘いです。アンモニア臭が色濃く漂う場合(多少は仕方ありません。どうしようもありません。)、清潔感への配慮が足りない施設と感じます。
5.介護老人保健施設内で判定会議
入所申請書を提出した施設側で、受け入れできるかどうか等の判定会議が行われます。
この判定会議は、施設によって日程が異なります。
いつ頃判定会議が行われ、いつ頃決まるのか
というのは、事前に確認しておくと、
この施設に入所させる!という意思決定ができる日程が決められます。
もし、介護施設へ入所させたい方が入院している場合、その退院日程の目途も立てられます。
6.介護老人保健施設への入所決定
判定会議の結果、めでたく入所が決定した場合、入所日程を調整して
入所者を介護老人保健施設へ連れていきます。
7.介護老人保健施設へ介護タクシーで移動
介護老人保健施設は、基本的に迎えに来てくれません。
したがって家族で入所者を介護老人保健施設へ連れていきます。
介護タクシーを利用することをおすすめしますが、
詳しくは下の記事をご確認ください。
8.介護老人保健施設と打合せ(介護方針協議)
介護タクシーで移動してきたら、これからの介護方針協議を行います。
次の担当者と協議を行います。
- 担当窓口
- 会計・事務(利用料支払・洗濯サービス)
- 栄養士(食事)
- 介護士(支援内容)
- 医師(状態確認)
- ルーム責任者
- リハビリ士
それぞれ次の内容の確認・協議を行います。
- 医師による状態確認
- 栄養士による食事内容(きざみ食、おかゆなどなど)
- 介護士による日常支援(おむつ、排便排尿支援)・リハビリ(運動内容)など
- ルーム責任者(多床室、ユニット型の場合、実際に日頃面倒見てくれる人達)
- リハビリ士 (実際に日頃リハビリ対応してくれる人達)
9.介護老人保健施設内の部屋の設置
協議が終われば、次に部屋の設置を行います。
衣類などは施設の方が上手く運用してくれますが、日用品・娯楽品の設置は完全に家族対応になります。
10.介護老人保健施設の入所後手続き
部屋の設置が終わった後に、紙面上で契約手続きを行います。
具体的には次のとおり。
10ー1.利用料支払い
支払方法は現金か、口座振替かどちらかでした。
口座振替にする場合、銀行印が必要になりますのでお忘れなく。
10-2.洗濯サービス利用
入所者の衣類の洗濯を、「家族が実施する」か、「施設の委託業者に依頼する」かを選択できます。
週1訪問の予定がなければ、施設の委託業者に依頼することをおすすめします。
10-3.介護方針承認
本日打合せした内容を書面で承認サインします。
10-4.規約読み合わせ
施設利用にあたって規約があります。危険物持ち込みダメだよ、とか。
これも承認します。
これで、入所の手続きは完了です。
介護老人保健施設への入所手続きの流れ まとめ
改めて流れを見てみましょう。
- 市区町村役場、地域包括支援センターへ介護認定申請
- 介護老人保健施設へ相談
- 介護老人保健施設ケアマネージャーと面談
- 面談後、介護老人保健施設内の見学
- 介護老人保健施設内で判定会議
- 介護老人保健施設への入所決定
- 介護老人保健施設へ介護タクシーで移動
- 介護老人保健施設と打合せ(介護方針協議)
- 介護老人保健施設内の部屋の設置
- 介護老人保健施設の入所後手続き
入所手続きには時間がかかるので確保するか、前倒しで進めていきましょう。
入所後、用意するものが足りていないとすぐに連絡が来るようになります。
最初から必要なものがわかっていれば、その頻度も減ります。
いっぺんでそれがわからないのが介護なんですがね。
下の記事も参考にして、事前準備していただけると幸いです。
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