相続手続きに必要な被相続人と相続人の戸籍を、法定相続情報証明制度を利用すると無料で一枚の「法定相続情報一覧図の写し」にまとめられるのをご存知でしょうか?

- 法定相続情報証明制度とは?
- 法定相続情報一覧図の写しとは?
- 具体的に何がどう良いの?
- 法定相続情報一覧図の写しを取得する方法は?
こんなお悩みにお答えします。
法定相続情報証明制度って何か難しそうですよね。
という方が多いのではないでしょうか。
この記事では、かんたんに法定相続情報証明制度を利用して「法定相続情報一覧図の写し」について解説します。

ぬくぬくも活用して相続登記や銀行口座の解約などに利用しましたよー
5分くらいで、法定相続情報証明制度を利用して法定相続情報一覧図の写しを取得すれば、戸籍関連資料をひとつにまとめられるので、ご一読いただけますと幸いです。
法定相続情報証明制度で取得できる「法定相続情報一覧図の写し」とは?
法定相続情報証明制度で取得できる「法定相続情報一覧図の写し」とはどういう書類なのでしょうか?
そもそも法定相続情報証明制度とは?
簡単に言うと、被相続人と相続人の戸籍を、無料で一枚の「法定相続情報一覧図」という書類にまとめてくれる制度です。
法定相続情報証明制度を利用すると次のような「法定相続情報一覧図の写し」という書類を無料で取得できます。

「法定相続情報一覧図の写し」って何に使うの?
相続手続きにおいて
- 被相続人の銀行口座の払い戻し
- 生命保険の死亡金受け取り
- 相続登記
などの手続きで、「戸籍謄本」「改製原戸籍」「除籍謄本」や「住民票」の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を利用できます。
もちろん従来通り、被相続人と相続人の戸籍で相続に関係する手続きは可能です。(本制度利用は必須ではありません)
ただし、次のケースに該当する場合、法定相続情報証明制度を利用して「法定相続情報一覧図の写し」を取得するべきです。
法定相続情報証明制度を利用して「法定相続情報一覧図の写し」を取得すべき人
次のパターンに該当する人は法定相続情報証明制度を利用すべきです。
- 被相続人が銀行口座を複数持っている
- 生命保険に複数加入している
- 相続登記を行う
法定相続情報証明制度を利用するメリット
よく語られているメリットは
- 1通300円~700円する戸籍謄本や住民票などの書類を、1枚の「法定相続情報一覧図の写し」にまとめられるため、戸籍除籍謄本の束を相続手続き窓口ごとに準備しなくてよい
- 法定相続情報一覧図の写しは申請する際に枚数を何枚でも無料で申請できる
- 法定相続情報一覧図の写しは、金融機関、年金などの公的機関、相続登記などの手続きで「戸籍謄本」「改製原戸籍」「除籍謄本」や「住民票」の代わりに利用できる
という点ですが、
私がよりメリットを感じた部分はこの1点で、この1点だけでも利用すべき価値があります。
亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍に不足が無いかを、法務局が確認してくれる!
特に、司法書士費用の数十万円以上を浮かせるために、相続登記を自分で行う場合は事実上必須でしょう。
【ご参考】私の祖父の場合
法定相続情報証明制度で「法定相続情報一覧図の写し」を取得する5ステップ
では実際にどうやって法定相続情報証明制度で「法定相続情報一覧図の写し」を取得するのでしょうか?
次の5ステップで取得できます。
- Step1必要書類の収集
- Step2法定相続情報一覧図と委任状の作成
- Step3申出書の記入
- Step4登記所へ申出
- Step5「法定相続情報一覧図の写し」と「提出した戸籍謄本などの書類原本」を受け取る
それでは法定相続情報一覧図の写しを取得する5ステップを解説していきます。
Step.1:法定相続情報証明制度利用申請に必要な書類の収集
法定相続情報証明制度利用に必要な書類は次のとおりです。
- ”被”相続人の戸籍・除籍謄本
- ”被”相続人の住民票除票
- 相続人全員の戸籍謄本または抄本
- 申出人(相続人表者)の氏名・住所がわかる公的書類
- 相続人全員の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
(詳細は後述の「法定相続情報証明制度の申請に必要な書類一覧」で記載)
Step.2:法定相続情報一覧図と委任状の作成
- 法定相続情報一覧図
- 委任状(代理人が申請する場合)
を作成します。
法務局ホームページに書式と記載例が掲載されていますので、そのとおり作成します。
法務局からダウンロードしたファイルは次のようなファイルです。
Step.3:申出書の記入
申出書(法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書)は法務局ホームページに書式と記入例が掲載されていますので、そのとおり作成します。
<法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書>

法務局ホームページ
>「STEP3 申出書の記入,登記所へ申出」
から
>申出書様式(WORD形式) (Word形式 : 21KB)
>申出書の記入例 (PDF形式 : 199KB)
を取得
「必要な写しの通数」で何部でも指定できます。私は呼びも含めて10部で申請しました。
Step.4:登記所へ申出(郵送でOK)
後述する「法定相続情報証明制度の申請に必要な書類一覧」を郵送して手続きできます(普通郵便でOK)。お近くの法務局へ送付してください。
提出書類一式に加えて「返信用封筒(自宅住所記入)」に「切手」を貼って同封します。
宛先は法務局のホームページ「管轄のご案内」でお近くの法務局へ送付します。
Step.5:「法定相続情報一覧図の写し」と「提出した戸籍謄本などの書類原本」が郵送されてくる
内容に抜けがなければ、1週間後くらいには「法定相続情報一覧図」が郵送されてきます。
合わせて、提出した戸籍や住民票などの書類原本も返却されます。
以上で法定相続情報一覧図の写しを取得できます。
法定相続情報証明制度の申請に必要な書類一覧
法定相続情報証明制度申請に必要な書類は次のとおりです。
法定相続情報証明制度申請に必要な公的書類
No | 書類名 | 取得先 | 注意事項 |
---|---|---|---|
1 | 【必須】 ”被”相続人の ①除籍・改製原 謄本 (平成6年までの戸籍) ②戸籍謄本・除籍謄本 (平成6年以降の戸籍) | 被相続人の本籍地の 市区町村役場 | 出生から死亡までの連続した 戸籍謄本および除籍謄本 |
2 | 【必須】 ”被”相続人の住民票除票 | 被相続人の 最後の住所地の 市区町村役場 | 全部事項証明書を取得 |
3 | 【必須】 相続人全員の戸籍謄本 または抄本 | 各相続人の本籍地の 市区町村役場 | 全部事項証明書を取得 |
4 | 【必須】 申出人(相続人代表者)の 氏名・住所がわかる公的書類 | ー | <公的書類例> ・マイナンバーカードを表面 ・運転免許証コピー ・住民票記載事項証明書 (住民票の写し) |
5 | 【相続登記時推奨】 相続人全員の 住民票記載事項証明書 (住民票の写し) | 各相続人の住所地の 市区町村役場 | 法定相続情報一覧図の写しに 相続人の住所を記載する場合 に必要 |
6 | 委任状 | 法務局ホームページ 「委任状の様式・記載例」 より取得。 様式(WORD) 記載例(WORD) | 代理人が申請を行う場合必須 |
7 | 申出人と代理人が親族関係 であると証明できる戸籍謄本 | ー | 代理人が申請を行う場合必須 |
また、自作する書類があります。
法定相続情報証明制度申請で、自作する書類一覧
No | 書類名 | 書式取得方法 |
---|---|---|
1 | 法定相続一覧図 | 法務局ホームページ 「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」 から取得 |
2 | 委任状 | 委任による代理人によって 申出をする場合の委任状の例 様式(WORD) 記載例(WORD) |
3 | 申出書 (法定相続情報一覧図の保管 及び交付の申出書) | 法務局ホームページ 「STEP3 申出書の記入,登記所へ申出」 から 申出書様式(WORD形式) (Word形式 : 21KB) 申出書の記入例 (PDF形式 : 199KB) を取得 |
ご参考:よくある質問
法定相続情報証明制度を利用する際によくある質問をまとめてみました。
Q1.出生から死亡までの戸籍で改製原戸籍って必要?
戸籍は次の図のように読み方が変わり、平成6年以前に出生している場合、必要になります。
市区町村窓口では、戸籍を取得する際に「出生から死亡までの戸籍が欲しい」とお伝えすれば伝わります。
- 結婚して誰かの籍に入れば、出生から結婚届提出日まで入っていた親戸籍からは「除籍」されるので、親筆頭の戸籍(除籍謄本)を取得します。
- 平成6年より以前の戸籍は「改製原戸籍」です。
- 平成6年以降の戸籍は「戸籍謄本」です。
- 提出した死亡届が反映されると戸籍謄本(死亡日記載)に反映されます。
Q2.遠方の戸籍の取得方法は?
具体的な取得方法は、下記内容を該当自治体に郵送しました。
- 自治体ホームページの戸籍申請書式をダウンロード
- 申請書に必要事項記入
- 戸籍取得代金分の定額小為替(ゆうちょ銀行で買えます)を購入
- 欲しい(抜けていた)戸籍の部分を指定したメモ(★)
- ★・・・改製原戸籍に●年~●年の誰々の戸籍が欲しい、と記載したメモ
Q3.「法定相続情報一覧図の写し」が足りなくなった!再交付を受けたい!
法定相続情報一覧図の写しの保管期間は5年です。
それまでであれば
「再交付申出書様式(WORD形式) (Word形式 : 19KB)」
の書類で、申し立てした法務局へ再申請可能です。
>再交付申出書の記入例 (PDF形式 : 146KB)
再交付申請に必要な書類は「再交付申出⼈の⽒名・住所を確認することができる公的書類」です。
Q4.相続登記の義務化っていつから?
日経新聞「土地の相続登記を義務化 所有者不明問題で法改正へ」の記事にもあるとおり、相続登記が義務化されます。
この制度の活用幅は間違いなく広がっていくでしょう。
そうなると、法定相続情報証明制度を利用して取得した「法定相続情報一覧図の写し」これだけで登記できるほど簡略化されるでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?
「法定相続情報一覧図の写し」の取得をすすめる理由は次のとおりです。
効率的、金銭的にも抑えたいのであれば、申請することをおすすめします。
法定相続情報証明制度の利用を加味した相続手続きに必要な書類の部数について確認したい場合は 【相続】相続手続きに必要な書類 何をどのくらい準備すれば? をご覧ください。
自分で相続登記を行うための方法は自分で相続登記手続きを行う方法のまとめにまとめていますのでご覧ください。
「相続が分からない!時間がない!」なら専門家へ相談を!
知り合いに誰か相続に明るい人がいれば良いですが、なかなかいないですよね。
私も身内が亡くなったとき、誰に相談していいか全くわかりませんでした。
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