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【罰則あり】相続登記・住所変更登記の義務化は2023年度から!

【罰則あり】相続登記・住所変更登記の義務化は2023年度から!
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 相続登記義務化を含む「民法等の一部を改正する法律案」が令和3年4月21日に参議院で可決成立しました。

  • 相続登記の義務化はいつから?罰則は?
  • 登記していない不動産があるのだけど大丈夫?
  • 住所・氏名の変更登記も義務化されたって!?
  • 同時に始まる「相続人申告登記(仮称)」「所有不動産記録証明制度(仮称)」「相続土地国庫帰属法」って何!?

こんなギモンにお答えします。

2021年4月21日に成立した新不動産登記法のポイント次のとおりです。

2021年4月21日に成立した新不動産登記法のポイント
  • 相続登記義務化は2024年(2023年度中)に施行開始(罰則あり)
  • 「相続人申告登記(仮称)」「所有不動産記録証明制度(仮称)」の創設
  • 住所・氏名変更登記義務化は2024年(2023年度中)に施行開始(罰則あり)
  • 「相続土地国庫帰属法」も成立

この記事では新不動産登記法のポイントを、我々住民に影響がある内容に絞って解説します。

ぬくぬく
ぬくぬく

両親の居宅を相続する程度なら自分で相続登記できますからやっておきましょう!

本記事でわかること
  • 相続登記」「住所・氏名変更登記」義務化に伴う期限罰則
  • 相続登記していない土地はバレる!?
  • 新設された相続人申告登記(仮称)」「所有不動産記録証明制度(仮称)」とは?
  • いらない土地は国に渡す「相続土地国庫帰属法」とは?
この記事を書いた人
ぬくぬく

家族の終活、介護、相続を1世代早く経験した30代サラリーマン。

【終活・介護・相続】
 ここ5年ほど、祖父の「終活」「介護」「相続」に取り組んできました。
 艱難辛苦した経験を書いています。

【投資・資産運用】
 2019年6月の老後2000万問題から、投資・資産運用を開始。
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10分くらいで、法律の条文のエビデンスを確認しながら相続登記の義務化を理解できますので、ご一読いただけますと幸いです。

目次
  1. 相続登記の期限は3年以内、罰則は10万円の過料!
    1. ①相続登記の義務化の開始は「2024年(2023年度中)から」
    2. ②相続登記の期限は「3年以内」
    3. ③相続登記しないと罰則は「10万円以内の過料」
    4. ④遺贈で相続した不動産の相続登記の期限も「3年以内」。単独で相続登記可能に。
  2. 相続登記していない土地はバレる!?
    1. 相続登記していない土地はバレるかもしれない
    2. 氏名・住所・生年月日を検索キーにして住民基本台帳に照合される
    3. 検索キーとして相続登記時に「生年月日」も必須となる
    4. 登記官は住民基本台帳を照合して何をするの?
    5. 国が本気出したらマイナンバー、法人番号と紐づける
  3. まだ相続登記していない不動産があるけど、いつまでに相続登記が必要なの!?
  4. 【新設】3年以内に相続登記できないなら「相続人申告登記(仮称)」で相続人を申告しよう
    1. 相続人申告登記(仮称)とは?
    2. 相続人申告登記(仮称)をすべき人
    3. 相続人申告登記(仮称)が不要な人
  5. 【新設】所有不動産記録証明制度(仮称)で所有物件一覧が取得できる!
  6. 遺産分割協議したら相続登記義務の期限は作成した日から3年以内
  7. 「住所・氏名変更」登記も義務化!期限は2年以内、罰則は5万円の過料!
    1. ①住所・氏名変更登記の義務化の開始は「2023年度から」
    2. ②住所・氏名変更登記の期限は「2年以内」
    3. ③住所・氏名変更登記しないと罰則は「5万円以内の過料」
  8. まだ住所・氏名変更登記していない不動産があるけど、いつまでに登記が必要なの!?
  9. いらない土地は国に渡したい!相続土地国庫帰属法
    1. 相続土地国庫帰属法とは?
    2. 相続土地国庫帰属法は有料!
    3. 相続土地国庫帰属法の制限事項
    4. 相続土地国庫帰属法を利用して国に返すなら支払う「固定資産税」「更地工事代」と比較しよう!
  10. 亡くなった名義人(所有者)のままの不動産は、今すぐ相続登記しよう!
    1. 数次相続になる前に相続登記を!
    2. 簡単な相続ならインターネットで相続登記できる!
    3. 相続登記の問題点は日本国を脅かしている!!
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相続登記の期限は3年以内、罰則は10万円の過料!

相続登記の期限は3年以内、罰則は10万円の過料!

相続登記の義務化について

  • 相続登記の義務化の開始時期
  • 相続登記の期限
  • 相続登記しないときの罰則
  • 遺贈の場合にも相続登記の義務化は適用される?

は次のとおりです。

①相続登記の義務化の開始は「2024年(2023年度中)から」

 相続登記の義務化が開始されるのは、2023年度中を予定しており、2024年1月~3月の間に施行される予定です。

②相続登記の期限は「3年以内」

 相続登記の期限は、自分が相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内です。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

③相続登記しないと罰則は「10万円以内の過料」

 相続登記しないと、10万円以内の過料(≠罰金)になります。

【民法等の一部を改正する法律案要綱(新不動産登記法)】
(過料)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条、第五十八条第六項若しくは第七項、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

④遺贈で相続した不動産の相続登記の期限も「3年以内」。単独で相続登記可能に。

 遺贈で相続した不動産も相続登記が義務となり、期限は3年以内です。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

 しかし、今までの遺贈は、相続人の助力が必要でしたが、受遺者単独で相続登記できるようになります

【民法等の一部を改正する法律案要綱(新不動産登記法)】
第三節 権利に関する登記 第一款 通則
(権利に関する登記の登記事項)
第六十三条 3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より
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相続登記していない土地はバレる!?

相続登記していない土地はバレる!?

相続登記していない土地はバレる!?バレない!?

気になるところですよね。

相続登記していない土地はバレるかもしれない

以下の観点から、将来、相続登記していない土地はバレるかもしれません。

  • 登記官は、住民基本台帳を参照できるようになる
  • 漢字氏名+所在(固定資産税課税台帳)+生年月日で突合される

まず、法務局員(登記所)は、住民基本台帳ネットワークを参照できるようになります。

【民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案】
第3 登記所が他の公的機関から所有権の登記名義人の死亡情報氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するための仕組み
 相続の発生や氏名又は名称及び住所の変更を不動産登記に反映させるための方策を採る前提として、登記所が住民基本台帳ネットワークシステムから所有権の登記名義人の死亡情報や氏名又は名称及び住所の変更情報を取得するため、次のような仕組みを設けるものとする。

(引用)法務省「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(令和3年2月2日開催決定)」より

氏名・住所・生年月日を検索キーにして住民基本台帳に照合される

登記官は、住民基本台帳ネットワークで「氏名」「住所」「生年月日」を検索キーにして、

  • 登記名義人の死亡確認
  • 自然人(生きている人)の登記名義人の氏名・住所の変更有無確認

を実施して、相続登記や氏名・住所変更登記の有無を把握できます。

【民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案】
 ②登記官は、氏名、住所及び検索用情報を検索キーとして、住民基本台帳ネットワークシステムに定期的に照会を行うなどして自然人である登記名義人の死亡の事実や氏名又は名称及び住所の変更の事実を把握するものとする。

(引用)法務省「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(令和3年2月2日開催決定)」より

検索キーとして相続登記時に「生年月日」も必須となる

住民基本台帳ネットワークのデータと突合するために、登記時に「生年月日」が必要になります。

【民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案】
 ①自然人である所有権の登記名義人は、登記官に対し、自らが所有権の登記名義人として記録されている不動産について、氏名及び住所の情報に加えて、生年月日等の情報(検索用情報)を提供するものとする。この場合において、検索用情報は登記記録上に公示せず、登記所内部において保有するデータとして扱うものとする。

(引用)法務省「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(令和3年2月2日開催決定)」より

登記官は住民基本台帳を照合して何をするの?

登記官は住民基本台帳ネットワークで、先に書いたとおり

  • 登記名義人の死亡確認
  • 自然人(生きている人)の登記名義人の氏名・住所の変更有無確認

をしたうえで

登記簿に

  • 登記名義人の死亡の符号の登記
  • 氏名・住所変更の登記(死亡している人に限る)

を実施できます。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(所有権の登記名義人についての符号の表示)
第七十六条の四 登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(職権による氏名等の変更の登記)
第七十六条の六 登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限る

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

国が本気出したらマイナンバー、法人番号と紐づける

 相当厳しいけど、コロナ対策でもわかるように、世論は「リセット」してから「リスタート」の論調が一定数いますよね。

皆忙しいので「1」か「0」かでハッキリして欲しくて、「0.5」を認めない風潮が強いです。

 こういった国民性を背景に、マイナンバー・法人番号を全土地提出させ、申告が無かったものを国庫帰属とする可能性もある。所有者不明の土地が日本の土地の20%(九州くらいの大きさ)もあるなら「致し方ない」と思うでしょう。

ただし、国の方では票が逃げるからか弱腰で、以下のとおりのヘタれた検討を行っています。

 もっとも、現状、マイナンバー制度に基づく情報連携によって取得することができる情報のうち、所有者不明土地等対策に関連し得るものの例としては、
 ①住民票関係情報(続柄・世帯番号のみ)や
 ②戸籍関係情報(ある者の死亡情報、ある者と特定の個人との間の婚姻関係・親子関係の存否の情報等)
が挙げられるものの、これらの情報のうち二者間の関係についての情報を照会するためには、対象者双方のマイナンバーの保有が必要とされている上、情報連携によって得られるのは、両者の婚姻関係や親子関係の存否についての情報のみであり、例えば、ある者と一定の身分関係にある者(法定相続人など)を探索するといった形での利用は不可能とされている(加えて、平成27年10月以前に死亡した者にはそもそもマイナンバーが付されていない。)。
 このように、不動産登記情報の最新化には、登記名義人の死亡や氏名・住所の変更等の情報(ひいては、その法定相続人全員の氏名・住所等の情報)が必要であるが、マイナンバー制度に基づく情報連携では、個人の氏名・住所や法定相続人の情報は得られないため、今次の不動産登記法改正の検討時点では、マイナンバー制度に基づく情報連携によっても、相続未登記や住所変更未登記を原因とする所有者不明土地問題への対策に有効な情報の取得は困難であり、その活用には限界があると考えられる。
 以上より、今般の不動産登記法の改正においては、不動産登記の名寄せや住基ネットとの連携による不動産登記情報の最新化を進めつつ、将来的な情報連携の進展も見据えた不動産登記システムの検討・整備を図っていくことが相当であると考えられる。

民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に関する要綱案のたたき台 (3)

まだ相続登記していない不動産があるけど、いつまでに相続登記が必要なの!?

既に相続登記していない不動産があるけど、いつまでに相続登記が必要なの!?

 もし相続登記していない不動産があるなら「新不動産登記法施行日から3年以内が相続登記期限」です。

 2023年度中に施行目標としており、一部では2024年1月と想定されていますので、2026年12月中に相続登記すれば、罰則(過料)は適用されません。

附則(施行期日)
(不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)第五条第二条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の不動産登記法(以下「新不動産登記法」という。)第六十三条第三項、第六十九条の二及び第七十条の二(相続登記)の規定は、施行日以後にされる登記の申請について適用する。
2 新不動産登記法第七十条第二項(遺産分割による相続登記)の規定は、施行日以後に申し立てられる公示催告の申立てに係る事件について適用する。
4 第二条の規定(附則第一条第二号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下「第二号新不動産登記法」という。)第七十三条の二(相続人の申告)の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第二号施行日」という。)以後に登記の申請がされる所有権の登記の登記事項について適用する。
6 第二号新不動産登記法第七十六条の二の規定は、第二号施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。この場合において、同条第一項中「所有権の登記名義人」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前に所有権の登記名義人」と、「知った日」とあるのは「知った日又は第二号施行日のいずれか遅い日」と、同条第二項中「分割の日」とあるのは「分割の日又は第二号施行日のいずれか遅い日」とする。

(引用)法務省「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

【新設】3年以内に相続登記できないなら「相続人申告登記(仮称)」で相続人を申告しよう

【新設】3年以内に相続登記できないなら「相続人申告登記(仮称)」で相続人を申告しよう

 新たに「相続人申告登記(仮称)」という登記方法が制度化されます。

 もし、新不動産登記法施行3年以内(2026年中?)に相続登記できそうになければ、「相続人申告登記(仮称)」することで、相続登記の義務は果たした扱いになります。

 ただし、所有権を取得できる登記ではありませんので、売ったり処分したりはできない登記ですのでご注意を。

相続人申告登記(仮称)とは?

 相続人申告登記(仮称)とは、所有権を持つ登記名義人が死亡したとき、所有権の移転の登記を申請する義務を負う相続人が「相続開始した旨 及び 申告者が当該所有権の登記名義人の相続人である旨」を申告して「登記簿にその旨を付記」することです。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(相続人である旨の申出等)
第七十六条の三 前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる

(引用)法務省「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

あくまでメモとして相続人たる人を登記簿に登記するだけなので、所有権は移転しません

したがって、「相続人申告登記」しただけでは、

相続人申告登記しても
  • 売却や処分できない
  • 贈与できない

です。

【民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案】
(注1)これは、相続を原因とする所有権の移転の登記ではなく、①の各事実についての報告的な登記として位置付けられるものである。

(引用)法務省「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(令和3年2月2日開催決定)より

しかも

相続人申告登記しても
  • 遺産分割協議が成立した場合は、遺産分割の日から3年以内に相続登記が必要

です。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(相続人である旨の申出等)
第七十六条の三 4 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

ただし「相続登記義務を履行したものとみなされる」ため、

相続人申告登記したら
  • 3年以内に相続登記しないと発生する10万円以内の過料は免れる

ことになります。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(相続人である旨の申出等)
第七十六条の三 2 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

相続人申告登記(仮称)をすべき人

 相続人申告登記(仮称)をすべき人は、主に以下のような人です。

相続人申告登記すべき人
  • 遺産分割でモメそうで、3年以内の相続登記が無理そうな人

あくまで過料を避けるためです。

相続人申告登記(仮称)が不要な人

 相続人申告登記(仮称)が不要な人は、主に以下のような人です。

相続人申告登記が不要な人
  • 3年以内に相続登記できる人

普通に相続登記を終える人には関係の無い登記です。

手間や手数料を考えたらわざわざ相続人申告登記など不要です。

【新設】所有不動産記録証明制度(仮称)で所有物件一覧が取得できる!

【新設】所有不動産記録証明制度(仮称)で所有物件一覧が取得できる!

 新たに「所有不動産記録証明制度(仮称)」が開始されます。

「所有不動産記録証明制度(仮称)」は、全国の法務局に登記されている不動産物件で、あなたが登記名義人になっている不動産(筆)を一覧でもらえます。

固定資産税の名寄帳は市町村へ申請してもらいますが、申請先市町村の不動産情報しかわかりませんので、法務局に手数料を支払って全国の筆が把握できるのは楽になります。

【民法等の一部を改正する法律案要綱(新不動産登記法)】
(所有不動産記録証明書の交付等)
第百十九条の二
何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。
2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。
3 前二項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。
4 前条第三項及び第四項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する

(引用)法務省「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

ただし、「登記名義人の氏名や住所・物件が正しく登記されていること」が前提となります。

(注1)ただし、現在の登記記録に記録されている所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所は過去の一定時点のものであり、必ずしもその情報が更新されているものではないことなどから、請求された登記名義人の氏名又は名称及び住所等の情報に基づいてシステム検索を行った結果を証明する所有不動産記録証明制度(仮称)は、飽くまでこれらの情報に一致したものを一覧的に証明するものであり、不動産の網羅性等に関しては技術的な限界があることが前提である。

(引用)法務省「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案」(令和3年2月2日開催決定)より

遺産分割協議したら相続登記義務の期限は作成した日から3年以内

遺産分割協議したら相続登記義務の期限は作成した日から3年以内

 遺言書が無い相続の場合、必ず「遺産分割協議書」を作成して、銀行などの相続手続きを行います。

 遺産分割協議書を作成した場合、「遺産分割協議書を作成し、法定相続人が同意した日から3年」が相続登記の期限になります。

【民法等の一部を改正する法律案(新不動産登記法)】
(相続等による所有権の移転の登記の申請)
第七十六条の二 2前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の(新設)規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない

(引用)法務省「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

「住所・氏名変更」登記も義務化!期限は2年以内、罰則は5万円の過料!

「住所・氏名変更」登記も義務化!期限は2年以内、罰則は5万円の過料!

義務化されるのは相続登記だけではありません。

「住所」「氏名」の変更登記も義務化されます。

住所・氏名変更登記の義務化について

  • 住所・氏名変更登記の義務化の開始時期
  • 住所・氏名変更登記の期限
  • 住所・氏名変更登記しないときの罰則

は次のとおりです。

①住所・氏名変更登記の義務化の開始は「2023年度から」

 住所・氏名変更登記の義務化は、相続登記の義務化と合わせて開始されるので、2023年度中を予定しており、2024年1月~3月の間に施行される予定です。

②住所・氏名変更登記の期限は「2年以内」

 住所・氏名変更登記の期限は、氏名(法人の場合は名称)・住所の変更があった日から2年以内です。

【民法等の一部を改正する法律案要綱(新不動産登記法)】
(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
第七十六条の五
所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

③住所・氏名変更登記しないと罰則は「5万円以内の過料」

 住所・氏名変更登記しないと、5万円以内の過料(≠罰金)になります。

【民法等の一部を改正する法律案要綱(新不動産登記法)】
(過料)
第百六十四条 2 第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する

(引用)法務省 「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

まだ住所・氏名変更登記していない不動産があるけど、いつまでに登記が必要なの!?

まだ住所・氏名変更登記していない不動産があるけど、いつまでに登記が必要なの!?

 もし住所・氏名変更登記していない不動産があるなら「新不動産登記法施行日から2年以内が相続登記期限」です。

 2023年度中に施行目標としており、一部では2024年1月と想定されていますので、2026年12月中に住所・氏名変更登記すれば、罰則(過料)は適用されません。

附則(施行期日)
(不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)第五条第二条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の不動産登記法(以下「新不動産登記法」という。)第六十三条第三項、第六十九条の二及び第七十条の二(相続登記)の規定は、施行日以後にされる登記の申請について適用する。
7 第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下この項において「第三号新不動産登記法」という。)第七十六条の五(氏名・住所変更登記)の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があった場合についても、適用する。この場合において、第三号新不動産登記法第七十六条の五中「所有権の登記名義人の」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第号)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人となった者の」と、「あった日」とあるのは「あった日又は第三号施行日のいずれか遅い日」とする。(第三号施行日の前日までの間の読替え)第六条第二号施行日から第三号施行日の前日までの間における第二号新不動産登記法第十六条第二項の規定の適用については、同項中「第七十六条の四まで、第七十六条の六」とあるのは、「第七十六条の三まで」とする。

(引用)法務省「民法等の一部を改正する法律案」(可決成立日 令和3年4月21日)より

いらない土地は国に渡したい!相続土地国庫帰属法

いらない土地は国に渡したい!相続土地国庫帰属法

相続土地国庫帰属法とは?

相続土地国庫帰属法とは、相続する土地を国に返す制度のこと。

相続で所有権を全部・一部取得した人(相続登記した人)は、国に申請を出せます。

(承認申請)
第二条 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者に限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。

(引用)法務省:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(可決成立日 令和3年4月21日)より

しかし、相続した土地が「他〇名」などの共有物件となっている場合、「所有権を持つ全員で申請」が必要です。

(承認申請)
第二条 2 土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。この場合においては、同項の規定にかかわらず、その有する共有持分の全部を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部又は一部を取得した共有者と共同して、承認申請をすることができる。

(引用)法務省:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(可決成立日 令和3年4月21日)より

相続土地国庫帰属法に基づく申請のイメージは次のとおりです。

いらない土地は国に渡したい!相続土地国庫帰属法
国交省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」より

相続土地国庫帰属法は有料!

相続土地国庫帰属法はタダじゃありません!

相続土地国庫帰属法申請に基づく国への土地返還にかかる費用
  • 審査手数料有料
  • 10年分の土地管理費相当額の負担金

10年分の土地管理費相当額は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を基に算出した10年分の土地管理費相当額(詳細は政令で規定)の負担金を徴収する、とされています。

参考として、200㎡の国有地(宅地)の管理費用(10年分)は約80万円程度

かかる費用項目は下記4つです。

  • 柵設置費用
  • 看板設置費用
  • 草刈費用
  • 巡回費用

しかも支払通知が来たら30日以内に納付する必要があります。納付しないと申請無効です。

納付すれば、その納付した瞬間をもって、めでたく国の土地になります。

(負担金の納付)
第十条 承認申請者は、第五条第一項の承認があったときは、同項の承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の金銭(以下「負担金」という。)を納付しなければならない。
2 法務大臣は、第五条第一項の承認をしたときは、前条の規定による承認の通知の際、法務省令で定めるところにより、併せて負担金の額を通知しなければならない。
3 承認申請者が前項に規定する負担金の額の通知を受けた日から三十日以内に、法務省令で定める手続に従い、負担金を納付しないときは、第五条第一項の承認は、その効力を失う。(国庫帰属の時期)
第十一条 承認申請者が負担金を納付したときは、その納付の時において、第五条第一項の承認に係る土地の所有権は、国庫に帰属する

(引用)法務省:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(可決成立日 令和3年4月21日)より

相続土地国庫帰属法の制限事項

さらに、相続土地国庫帰属法で申請できる土地には制限事項があります。

相続土地国庫帰属法で申請できない土地
  • 建物がある土地
  • 抵当権などのローンなどが設定されている土地
  • 通路その他の他人による使用が予定される土地
  • 特定有害物質により汚染されている土地
  • 境界が明らかでない土地、係争地
  • 工作物、車両、樹木その他の物がある土地
  • 地下に何かある土地
  • 隣接する土地の所有者との係争地
  • 管理・処分に費用・労力を要する土地

更地に戻してからでないと申請できません。

もちろん更地にする工事費用は自分持ちです。

(承認申請)
第二条 3 承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。
一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

(引用)法務省:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(可決成立日 令和3年4月21日)より

(承認)
第五条 法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。
一 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
二 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
三 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
四 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
五 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
2 前項の承認は、土地の一筆ごとに行うものとする。

(引用)法務省:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案(可決成立日 令和3年4月21日)より

相続土地国庫帰属法を利用して国に返すなら支払う「固定資産税」「更地工事代」と比較しよう!

 相続土地国庫帰属法で土地を国に返すときには次のとおり比較して検討しましょう。

相続土地国庫帰属法を利用する場合
  1. 審査手数料(現時点で不明)
  2. 土地を更地にする費用
そのまま土地を持ち続ける
  1. 今後支払う固定資産税の額
  2. ゴミ屋敷や不審者出入り等による訴訟や事件のリスク

 例えば、更地にするのが200万円、国へ支払う負担金が100万円で、今後支払う固定資産税が5万円/年とすると、元を取るのが60年ということになります。

・・・選択する人は相当限られるんじゃないでしょうか。

二束三文の儲けでも、素直に業者に任せて売却した方が良いかもしれませんね。

亡くなった名義人(所有者)のままの不動産は、今すぐ相続登記しよう!

ということでいかがでしたでしょうか?

簡単に相続登記と合わせてさりげなく施行される内容についてまとめていきます。

相続登記の義務化 まとめ
  • 相続登記の義務化の開始は「2024年(2023年度中)から」
  • 相続登記の期限は「3年以内」
  • 相続登記しないと罰則は「10万円以内の過料」
  • 遺贈で相続した不動産の相続登記の期限も「3年以内」。単独で相続登記可能に。
  • もし相続登記していない不動産があるなら「新不動産登記法施行日から3年以内が相続登記期限」
  • 遺産分割協議したら相続登記義務の期限は作成した日から3年以内
住所・氏名変更登記の義務化 まとめ
  • 住所・氏名変更登記の義務化の開始は「2024年(2023年度中)から」
  • 住所・氏名変更登記の期限は「2年以内」
  • 住所・氏名変更登記しないと罰則は「5万円以内の過料」
  • もし住所・氏名変更登記していない不動産があるなら「新不動産登記法施行日から2年以内が相続登記期限」
相続人申告登記(仮称) まとめ
  • 相続人申告登記(仮称)とは、相続人であることを申告・登記すること
  • 相続人申告登記しても所有権は移転しません(売却や処分できない)
  • ただ10万円以内の過料は免れるだけ
所有不動産記録証明制度(仮称) まとめ
  • 「所有不動産記録証明制度(仮称)」は、全国の法務局に登記されている不動産物件で、あなたが登記名義人になっている不動産(筆)を一覧でもらえます
  • 「登記名義人の氏名や住所・物件が正しく登記されていること」が前提
相続土地国庫帰属法 まとめ
  • 相続土地国庫帰属法とは、相続する土地を国に返す制度のこと。
  • 共有物件となっている場合、「所有権を持つ全員で申請」が必要
  • 「審査手数料」と「10年分の土地管理費相当額の負担金」の費用が掛かる
  • 相続土地国庫帰属法を利用できる土地には制限事項が10個ある
  • 相続土地国庫帰属法を利用して国に返すなら支払う「固定資産税」「更地工事代」と比較が必要。もとは取れないかも・・・

数次相続になる前に相続登記を!

相続登記をほおっておいて良いことは何一つありません。

一次相続、二次相続、相次相続、再転相続、数次相続、代襲相続の違いを図解!にも記載しましたが、後世に面倒を押し付けているだけです。

簡単な相続ならインターネットで相続登記できる!

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実際に私が司法書士や弁護士に依頼せずに相続登記したときの相続登記を自分でオンライン申請する方法8ステップ【まとめ】の手順通り進めていけばできると思いますよ?

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相続登記の問題点は日本国を脅かしている!!

 所有者不明土地増加の対策「相続登記の義務化」の問題点にも記載しましたが、相続登記を怠ってきた、また、それが義務化されていなかったことで、誰にも何も手を出せない土地が九州くらいのサイズになっています。

以上、ご参考になれば幸いです。

相続
この記事を書いた人
ぬくぬく

家族の終活、介護、相続を1世代早く経験した30代サラリーマン。

【終活・介護・相続】
 ここ5年ほど、祖父の「終活」「介護」「相続」に取り組んできました。
 艱難辛苦した経験を書いています。

【投資・資産運用】
 2019年6月の老後2000万問題から、投資・資産運用を開始。
 家計の見直しで1年間で400万円貯めました!
 「米国ETF」と「全世界投資」でハイブリッド運用中!

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