不幸にも先立つことになってしまった場合、何も準備していないと、あなたの財産が望まない人に渡ってしまう可能性があります。
離婚して疎遠になっている親が代表例ではないでしょうか。
私が死んだ場合、離婚した親は法定相続人になるの?
あなたに配偶者と子がいない限り、あなたの遺産は離婚して疎遠でも実母および実父が法定相続人になります。
したがって、あなたが何も対策していない場合、あなたの遺産は渡したくもない実母または実父に奪われる可能性があります!
えぇ!?嫌だ!
上の家系図のとおり、もし、あなたが「実子または養子縁組した子供の立場」だとしたら、どのような対応方法があるのでしょうか?
あんな人に私の財産を渡したくない!
など、悲喜こもごも、思うことがあるでしょう。
あなたが亡くなった場合、事前に手を打っておかなければ、実母・実父はあなたの財産を取得することができます。
「納得いかない!」と思う人もいるのでは?
そんなあなたのために、ここでは
について、解説します。
もし親が離婚しているなら本記事を読んで今すぐ対策をすることで、万が一あなたが亡くなったときの対応と遺産を渡したくない親に取られない対応をしましょう!
逆に「実母・実父が無くなった場合」については、離婚した親の相続手続きが発生!?対応方法4パターンを解説!をご覧ください。
なお、本記事では「実母・実父・実子」で統一して表記していますが、親子関係には養子の他にも関係性があります。
次の一覧表を参考に、本記事では次のとおり読み替えられます。
本記事での表記 | 読み替え 可能 | 読み替え 不可 |
---|---|---|
実母・実父 | 継母・継父 (養母・養父) ※普通および特別養子縁組をした親 | 特別養子縁組で親子関係を切られた親 養子縁組していない後妻/後夫 |
実子 | 養子 摘出子・非摘出子 認知した内縁の妻の子 | 養子縁組していない後妻/後夫の子 (後妻/後夫の連れ子) |
配偶者 | – | 内縁の妻 |
不幸にも先立ったら、自分の財産は離婚した親に!?今すぐ準備を!
もし自分(あなた)が亡くなってしまい、あなたの相続が発生した場合、離婚で疎遠になった実父・実母が法定相続人になる可能性があります。
どのように対応が備えたら良いのでしょうか?
どういった対応をすべきか、フローチャートで見ていきましょう。
離婚で疎遠の親がいる場合、あなたの相続への対応3パターン
あなたの実母・実父が離婚し、疎遠にしており、万が一実子(あなた)が亡くなった場合の相続の対応は3パターンです。
対応パターン①:実母・実父・兄弟姉妹に実子(あなた)の財産を渡したくないなら「遺言書作成」+「10年時効を待て」!
- 実子(あなた)に配偶者と子がいない
- 離婚して疎遠な実母・実父・兄弟姉妹に財産を渡したくない!
- 財産は全て「引き取って育ててくれた実母または実父」や「育ての親」に相続させたい
遺言書を作成
かつ
10年死亡した旨を連絡しない
実子(あなた)に「配偶者と子がいない」かつ「遺言書が無い」場合は、実母・実父・兄弟姉妹が法定相続人になります。
具体的には次の画像のようなケースです。
万が一の場合、実子(あなた)の財産は「育ての親」に渡したいとも思うのが一般的かと思います。
したがって、実子(あなた)が思う相手に財産を相続させたい場合「遺言書」を作成し、遺言執行者に相続させたい人を指定します。
ただし、遺言書を残すだけでは足りません。
例え遺言書があっても、法定相続人である実母・実父・兄弟姉妹には「遺留分侵害額請求」を行う権利があり、あなたの財産の一部を相続する権利があります。
次の画像ように、離婚して離縁した実父が、実子(あなた)の財産の1/6を遺留分として相続できます。
※遺留分侵害額請求と法定相続分については「「法定相続分」と「遺留分」の違いと割合は?遺留分侵害額請求7パターンの計算方法も図解!」で詳しく説明しています。
「遺留分侵害額請求」の時効は、
- 実子(あなた)が亡くなってから10年
- 法定相続人が実子(あなた)の死亡を知ってから1年
ですので、法定相続人である実母・実父・兄弟姉妹へ10年間連絡しない または 「遺留分侵害額請求」を1年間知られない必要があります。
したがって、エンディングノート等で、財産を相続させたい相手に「自分の死について、10年間伝えない」旨を明らかにしておく必要があります。
対応パターン②:あなたに配偶者と子がいるなら、特にやること無し!
- 実子(あなた)に配偶者と子がいる
特に何もやることなし
実子(あなた)に「配偶者と子がいる」場合は、法定相続人は「配偶者」と「子」になるので、特にやることはありません。
こうなっていれば楽ですね。
対応パターン③:実母・実父・兄弟姉妹に財産を渡しても良いなら、特にやること無し!
- 実子(あなた)に配偶者と子がいない
- 遺言書が無い
- 離婚して疎遠な実母・実父・兄弟姉妹に財産を渡してもかまわない
特に何もやることなし
実子(あなた)に「配偶者と子がいない」かつ「遺言書が無い」場合は、実母・実父・兄弟姉妹が法定相続人になります。
※法定相続人については「「法定相続分」と「遺留分」の違いと割合は?遺留分侵害額請求7パターンの計算方法も図解!」で詳しく説明しています。
よくある質問QA
離婚親に財産が取られるような相続が発生したときによくある質問QAは次のとおりです。
- Qなぜ離婚で疎遠な実母・実父に、あなたの財産を取られるの?
- A
法定相続人は、血縁関係(またそれに準ずる)関係で決定するからです。
法定相続人には、遺言書がなければ、遺産(財産や負債)を「法定相続分」として受け取る権利があります。
実子(あなた)に不幸があったときに財産を取られる理由あなたが亡くなって、あなたに配偶者または子がいない場合、離婚で離縁した実母・実父は法定相続人になります。
なお、実母・実父が離婚するとふたりの間に血縁はありませんので、片方が亡くなっても、元配偶者には相続権はありません。
子は夫婦の架け橋とは良く言ったものですね。
- Q事前に相続放棄をしてもらうことはできないの?
- A
残念ながら事前に相続放棄できません。
調べる間もなく債務過多であることが明白である場合、「時間があるうちに相続放棄しておいてほしい」と考えますよね。
しかし、相続放棄するには、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し出を行う必要があり、申請には「被相続人の出生から死亡までの戸籍」が必要になります。
したがって、相続放棄は相続が開始してからでなければ手続きできません。
「実母」「実父」「継母」「継父」「実子」「養子」「摘出子」「非摘出子」と本記事における読み替えの関係
本記事では「実母・実父・実子」で統一して表記していますが、親子関係には養子の他にも関係性があります。
次の一覧表を参考に、本記事では次のとおり読み替えられます。
本記事での表記 | 読み替え 可能 | 読み替え 不可 |
---|---|---|
実母・実父 | 継母・継父 (養母・養父) ※普通および特別養子縁組をした親 | 特別養子縁組で親子関係を切られた親 養子縁組していない後妻/後夫 |
実子 | 養子 摘出子・非摘出子 認知した内縁の妻の子 | 養子縁組していない後妻/後夫の子 (後妻/後夫の連れ子) |
配偶者 | – | 内縁の妻 |
本記事では「実母」・「実父」と書いていますが養子縁組をしている「継母・継父」(血のつながりのない親)も実母・実父と同等の扱いになります。
逆に、俗に言う「連れ子」(前妻の子、前夫の子)についても同様で、養子縁組をしていれば、「実子」と同等の扱いになりますので、読み替えることができます。「摘出子」「非摘出子」なのかも関係ありませんので「実子」と読み替えることができます。
実母・実父が第三者と再婚していても、再婚相手とあなたが養子縁組しているなら、あなたは「実子」と同等の扱いになりますので、実母・実父の相続と、養子縁組で継母・継父の相続に関連することになります。
継母・継父と養子縁組をしていない場合、「実子と同等扱いにはなりません」ので相続権はありません。
養子縁組には「特別養子縁組」というものがあり、これは今の母・父との関係を断ったうえで新たな継母・継父と養子縁組するものですので、関係を断った親子間では法定相続人になりません。
通常配偶者には相続権がありますが、内縁の妻には婚姻関係がありませんので、相続権はありません。
離婚した親に自分の遺産を相続させたくないなら今すぐ準備をしよう!
いかがでしたでしょうか。まとめると次のとおりです。
養子縁組をした継母・継父(養母・養父)は、実母・実父と同様の法的扱いとなるため、法定相続人となります。
養子・摘出子・非摘出子・認知した内縁の妻の子は、実子と同様の法的扱いとなるため、法定相続人となります。
「法定相続人」が誰になるのかや「遺留分」「法定相続分」の割合については「「法定相続分」と「遺留分」の違いと割合は?遺留分侵害額請求7パターンの計算方法も図解!」で基本的な考え方を図解していますのでご一読ください。
逆に「離婚した親」が亡くなった場合の相続を知りたい方は「離婚した親が亡くなった!相続手続きの対応方法4パターンを解説!」をご覧ください。
【ご参考】もし私が死んでしまったときにどう備えるか?
私個人は未婚ですし、子もいません。(予定もありません)
もし私が死んでしまった場合、離婚して離縁した父も相続権があります。
しかし、父に対して、びた一文たりとも、私の財産を相続させたくありません。
したがって、「自筆証書遺言書」を作成し、遺言執行者および相続人を母・弟(予備)とし、エンディングノートに「私の一切の財産を父に譲らないため、遺留分侵害額請求の権利が時効消滅する私の死後10年間は、私の死について父へ通知しないこと」としています。
遺言書については、「自筆証書遺言保管制度」を利用します。(2020.7/10に制度開始)
自筆証書遺言保管制度は、2021年7月10日より始まった公的サービスで、自筆証書遺言を法務局で保管し、死後に遺言者が指定する人1名に通知できるサービスです。
相続手続きのトラブルが心配なら専門家へ相談しよう!
ぬくぬくのように誰に相談していいかわからない!と思ってしまったら、相続サポートなどの専門家へ必ず相談しましょう。
ちなみにぬくぬくは、司法書士に、登記申請書の確認をしてもらいました。
その後、自分で相続登記をオンライン申請したため、費用は発生しませんでした。
相続に関連した記事は「相続手続き(相続税や準確定申告、相続登記)のネット申請方法まとめ」にまとめていますので、是非ご覧ください。
以上、ご参考になれば幸いです。