相続発生に伴って不動産(土地・建物)の所有者を変更(所有権移転登記)する必要がある場合、多くは司法書士に依頼して登記を行います。
しかし、司法書士費用は10万円以上の費用がかかってしまいます。
そこで、申請用総合ソフトを利用して、自分で登記申請を行う方法を画像付きでお伝えしていきます。
- 申請用総合ソフトで『相続登記申請』から『登記識別情報取得』の14ステップ
- 1.申請用総合ソフトのインストール
- 2.登記申請書の作成を行う
- 3.登記申請書に「登記原因証明情報(遺産分割協議書)と「登記原因証明情報(相続関係説明図)」、「登記識別情報取得用届出様式」を添付します。
- 4.登記申請書に電子署名を行います。
- 5.登記申請書の申請データを送信
- 6.登録免許税を納付します。
- 7.「書面により提出した添付情報の内訳表」を鏡にして、紙資料を簡易書留で法務局へ郵送する。
- 8.「お知らせ」の更新を確認
- 9.審査結果を確認します。
- 10.登記識別情報通知ダウンロード様式の作成
- 11.登記識別情報通知ダウンロード様式に「取得者特定ファイル」を添付します。
- 12.登記識別情報通知ダウンロード様式に署名します。
- 13.登記識別情報通知ダウンロード様式を送信します。
- 14.登記識別情報を取得します。
- 15.以上で終了です。
- 相続登記を自分でオンライン申請する方法(申請用総合ソフト手順書)まとめ
申請用総合ソフトで『相続登記申請』から『登記識別情報取得』の14ステップ
1.申請用総合ソフトのインストール
申請用総合ソフトのインストール方法はこちらの記事をご覧ください。
2.登記申請書の作成を行う
2-1.申請用総合ソフトにログインして、[ファイル]ー[申請書作成]を選択します。
2-2.[不動産登記申請書]→[登記申請書(権利に関する登記)]→[登記申請書(権利に関する登記(4)所有権の移転(相続))]を選択します。
2-3.登記申請書に内容(登記の目的、原因、相続人)を入力します。
- 件名(必須):任意の内容(私は”被相続人名+相続”と入力しました)を入力。
- 氏名または法人団体名:「相続人のカナ氏名(代表者)」を入力します。
- 登記の目的:所有権移転
- 原因:被相続人の死亡日
- 被相続人:死亡した所有者の名前
- 住所:”(申請人)”+申請人の住所
- 氏名:申請人の名前
- 連絡先の電話番号:申請人の連絡先(携帯電話可)
- 登記識別情報通知希望の有無:オンラインによる通知を希望する
2-4.「登識(登記識別情報)取得届出様式作成」をクリック
2-5.「登記識別情報取得様式」および「取得者特定ファイル」を作成します。
まず、次の内容を入力して「暗号化鍵の生成」ボタンをクリックします。
- 件名:任意に入力
- 申請者情報(住所):申請者の住所を入力
- 申請者情報(氏名):申請者名を入力
- 暗号鍵の生成(パスワード):パスワードを8桁設定します。このパスワードは登記完了後に使います。
[暗号化鍵の生成]をクリックすると完了メッセージが表示されますので[OK]をクリック。
「暗号化鍵の生成」の「状態」項目が「生成済」となっていることを確認します。
画面右下の[設定]ボタンをクリック
2-6.「添付情報」と「住民票コード情報」を入力します。
- 添付情報:”登記原因証明情報(特例)”および”住所証明情報(省略)”と入力
- 住民票コード情報:全角で住民票コード(住民票の住民番号)を入力
登記原因証明情報(特例)とは?
登記原因証明情報は、遺産分割協議書による所有権移転登記の場合、
- 遺産分割協議書
- 相続関係説明図
の2つの資料を指します。
(特例)は、遺産分割協議書と相続関係説明図の紙資料を
- 法務局の窓口へ出向いて提出するのか
- 法務局へ郵送するのか
どちらにするか決まっていない場合にカッコ書きします。郵送で送ることを決めていても(特例)と書いておけば問題ありません。
住所証明情報(省略)とは?
住所証明情報は、申請人の住所を証明するもの、一般に住民票になります。
(省略)は、登記申請書の「住民票コード情報」項目に住民票番号を記載することで、住民票の提出を省くことができます。それを示すものです。
2-7.「申請年月日」「申請先登記所」「課税価格」を入力します。
- 申請年月日:申請をオンライン送信する日(17:15を超える場合、送信翌日の日付)
- 申請先登記所:[登記所選択]ボタンから選択
- 課税価格:固定資産評価証明書の「評価額」項目を入力
課税価格は固定資産評価証明書のどの部分を書くのか?
- 土地:赤枠の「評価額」
- 建物:青枠の「評価額」
を「課税価格の内訳等」項目に入力します。
土地と建物の合計額を「課税価額 金〇〇〇円」に半角で入力します。
2-8.「登録免許税」を計算して入力します。
登録免許税の計算方法は?
物件別(土地と建物別々)に計算していきます。
私の例をもとに計算していきましょう。
①物件評価額に0.4%を乗算します。
- 土地:6,583,862 × 0.004 ≒ 26,335.448
- 建物:1,534,932 × 0.004 ≒ 6,139.728
②計算結果の100円未満を切り捨てます。
- 土地:26,335.448 → 26,300円(100未満切り捨て)
- 建物:6,139.728 → 6,100円(100未満切り捨て)
③土地と建物の金額を合算します。
- 土地+建物=26,300 + 6,100 = 32,400円(登録免許税)
④上記より
登録免許税:32,400円
登録免許税の内訳等:土地26,300円、建物6,100円
を登記申請書に記入します。
2-9.「登記完了証の交付方法」と「不動産の表示」を入力します。
- 登記完了証の交付方法:オンラインによる交付を希望する
- 不動産の表示:所有権移転を行う筆(土地・家屋)を「オンライン物件検索」で入力します。
※「追加する物件の種別等」で「土地・建物」を切り替えて「表示物件追加」ボタンをクリックすると、手動で物件を追加できます。
2-10.入力が完了したら「チェック」をクリック
「エラーはありません」とメッセージが出れば、次の手順に進みます。
「入力チェックエラー」が出たら、エラー内容の指示に従い、内容を修正して「エラーはありません」となるまで修正していきます。
2-11.エラーが無くなったら「完了」をクリック
3.登記申請書に「登記原因証明情報(遺産分割協議書)と「登記原因証明情報(相続関係説明図)」、「登記識別情報取得用届出様式」を添付します。
3-1.作成した登記申請書で[右クリック]→[ファイル添付]をクリック
3-2.[ファイル追加]をクリック
3-3.「遺産分割協議書」と「相続関係説明図」のPDFファイルが添付されたことを確認します。
3-4.続けて「登記識別情報関係様式追加」をクリックします。
3-5.「登記識別情報通知取得用届出様式」を選択して[選択]ボタンをクリックします。
3-6.「登記識別情報通知取得用届出様式」が追加されたことを確認して[保存]ボタンをクリック
3-7.今回作成している登記申請書の「添付ファイル一覧」に追加されたことを確認します。
4.登記申請書に電子署名を行います。
4-1.[署名付与]ボタンをクリック
4-2.[ICカードで署名]をクリック
4-3.ICカードリーダにマイナンバーカードをセットして[OK]をクリック
4-4.「電子証明書ファイルのアクセスパスワード」を入力して[確定]をクリック
電子証明書ファイルのアクセスパスワードとは?
マイナンバーカード作成時に記入した「暗証番号記載票」の「①署名用電子証明書暗証番号」のこと。
「ICカードリーダの初期化に失敗しました。」エラーが表示される場合
次の記事の「13.電子署名の設定」を行って、再度4-1に戻ります。
4-5.署名付与完了メッセージが表示されますので[OK]をクリック。
5.登記申請書の申請データを送信
5-1.[申請データ送信]をクリック
5-2.送信前申請一覧画面で送信対象をチェックして[送信]をクリック
5-3.確認メッセージが表示されますので[OK]をクリック
5-4.「状態」項目が「送信完了」になったことを確認して[閉じる]をクリック
5-5.処理状況が「到達・受付待ち」になり「到達」ボタンと「納付」ボタンが押せるようになったことを確認します。
[納付]ボタンをクリックして、次の手順に進みます。
6.登録免許税を納付します。
6-1.[納付]ボタンをクリックします。
6-2.e-GOVで納付します。
私は楽天銀行から納付しました。
6-3.[更新]ボタンをクリックすると「納付状況」項目が「納付済み」になったことを確認します。
7.「書面により提出した添付情報の内訳表」を鏡にして、紙資料を簡易書留で法務局へ郵送する。
7-1.[受付確認]ボタンをクリックします。
7-2.受付番号を確認します。
7-3.申請用総合ソフトの[アクション]→[書面により提出した添付情報の内訳表の印刷]をクリック
7-4.「書面により提出した添付情報の内訳表」が表示されますので、受付番号が7-2で確認した番号と一致しているか確認して、印刷します。
手書きで「申請人の氏名」「申請人の電話番号」を記入し、実印を押印します。
7-5.申請データ送信から2営業日以内に、次の内容を法務局へ簡易書留で郵送します。
- 書面により提出した添付情報の内訳表
- 登記申請書
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書(原本)
- 相続関係説明図
- 法定相続情報一覧図の写し
- 登記事項証明書(土地)
- 登記事項証明書(建物)
- 固定資産評価証明書
- 返信用封筒(原本還付を受けたい場合)
8.「お知らせ」の更新を確認
申請用総合ソフトの「お知らせ」は次のタイミングで更新されます。
- 申請した登記申請書が受付されたとき
- 登記原因証明情報(特例)などの書面郵送資料が法務局に届いたとき
- 登記申請書の内容を補正する必要があるとき
- 登記が完了したとき
それぞれ次のようなお知らせが届きます。
<①.登記申請書が受付されたとき>
<②.登記原因証明情報(特例)などの書面郵送資料が法務局に届いたとき>
<④.登記が完了したとき>
9.審査結果を確認します。
9-1.処理状況が「審査終了」になったことを確認して[公文書]をクリック
9-2.pdfファイルをクリックして[表示]をクリックします。
9-3.登記完了証(電子申請)を確認できます。
これで登記自体は完了していますので、登記簿謄本を取得すると所有者は変更されていますが、登記識別情報の取得が必要になります。
10.登記識別情報通知ダウンロード様式の作成
10-1.申請用総合ソフトの [ファイル]ー[申請書作成]を選択します。
10-2.「登記識別情報通知ダウンロード様式【署名要】」を選択して[選択]ボタンをクリック
10-3.「申請番号(17桁)」「申請人」を入力して[完了]をクリック。
17桁の申請番号の確認方法は?
申請用総合ソフトの[到達]ボタンをクリックします。
到達通知に記載されている「申請番号」数字17桁のことです。
11.登記識別情報通知ダウンロード様式に「取得者特定ファイル」を添付します。
11-1.作成した「登記識別情報通知ダウンロード様式」で右クリックして[ファイル添付]を選択します。
11-2.[登記識別情報関係様式追加]をクリック
11-3.「取得者特定ファイル」を選択して[選択]ボタンをクリック
11-4.取得者特定ファイルが追加されたことを確認して[保存]をクリック。
12.登記識別情報通知ダウンロード様式に署名します。
12-1.[署名付与]ボタンをクリック
12-2.[ICカードで署名]ボタンをクリック
12-3.ICカードリーダにマイナンバーカードをセットして[OK]をクリック
12-4.「電子証明書ファイルのアクセスパスワード」を入力して[確定]をクリック
12-5.署名付与完了メッセージが表示されますので[OK]をクリック
13.登記識別情報通知ダウンロード様式を送信します。
13-1.[申請データ送信]をクリック
13-2.送信対象の「登記識別情報通知ダウンロード様式」にチェックを入れて[送信]をクリック
13-3.状態が「送信完了」になったことを確認します。
13-4.8:30~17:15の間であれば、処理状況がすぐに「手続き終了」になります。
登記識別情報通知ダウンロード様式の申請データ送信後、「中止/却下」になった場合
[到達]ボタンをクリックすると次のエラー通知が確認できます。
14.登記識別情報を取得します。
14-1.「登記識別情報通知ダウンロード様式」の[公文書]ボタンをクリック
14-2.[登記識別情報の表示]をクリックします。
14-3.上記2-5で作成したパスワードを入力します。
14-4.「登記識別情報及びQRコードを取り込んで表示」を選択して[表示]をクリック
14-5.注意メッセージが表示されるので[OK]をクリック
14-6.登記識別情報を取得します
登記識別情報とは?
不動産(土地・建物)の「権利証」です。
不動産登記法改正により、2005年(平成17年)3月7日から、この登記識別情報通知書が権利書に置き換わっています。
改正後は、登記済証の通知はありませんので、金庫に入れておくレベルの大事な情報です。
15.以上で終了です。
お疲れ様でした!
相続登記を自分でオンライン申請する方法(申請用総合ソフト手順書)まとめ
次の手順で、自分でオンライン登記できます。
- 申請用総合ソフトのインストール
- 登記申請書の作成を行う
- 登記申請書に「登記原因証明情報(遺産分割協議書)と「登記原因証明情報(相続関係説明図)」、「登記識別情報取得用届出様式」を添付します。
- 登記申請書に電子署名を行います。
- 登記申請書の申請データを送信
- 登録免許税を納付します。
- 「書面により提出した添付情報の内訳表」を鏡にして、紙資料を簡易書留で法務局へ郵送する。
- 「お知らせ」の更新を確認
- 審査結果を確認します。
- 登記識別情報通知ダウンロード様式の作成
- 登記識別情報通知ダウンロード様式に「取得者特定ファイル」を添付します。
- 登記識別情報通知ダウンロード様式に署名します。
- 登記識別情報通知ダウンロード様式を送信します。
- 登記識別情報を取得します。
自分で相続登記を行うための方法は自分で相続登記手続きを行う方法のまとめにまとめていますのでご覧ください。
相続関係説明図の他に「相続」に関わる手続きについての記事は次のとおりです。
「遺留分」や「法定相続分」でお悩みなら
相続登記を自分で、オンラインで申請を完遂したい!という人におススメの記事は次のとおりです。
準確定申告や相続税については次の記事がおススメです!
コメント