令和5年8月7日に総務省から「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査<結果に基づく通知>」が発表されました。
同調査結果は、高齢者が「病院の入院」や「介護施設等の入所」が事実上必須(本来必須ではない)となっており、家族や親族に代わって、民間事業者がおひとり様の「身元保証」を支援してくれる”身元保証等高齢者サポート事業”の現状を調査したものです。
高齢化社会に加え、おひとり様の高齢者が増えていくのが分かっており、民間事業者の身元保証サービスの需要が増えるのも明白。
しかし、現在、明確なルールやガイドラインが無いため、その検討が開始される予定とのことです。
高齢者の「身元保証等サービス」って具体的にどんなサービスとは?
並列で語られる「日常生活支援」「死後事務」サービスとは?
こんなギモンにお答えします。
本記事をご覧の方は
という方が多いのではないでしょうか。
本記事では、総務省の調査結果をまとめつつ、「身元保証等サービス」とは何か、利用する際の注意点について解説します。
ぬくぬくも、将来おひとり様の予定なので、「身元保証サービス」を利用することになる予定ですよー
身元保証等高齢者サポート事業とは?
身元保証等高齢者サポート事業は、”等”と表されるだけあって、
- 買い物や通院の付き添いを支援してくれる「日常生活支援サービス」
- 入院や施設入所の保証人になってくれる「身元保証サービス」
- 死後の手続きや葬儀・納骨をしてくれる「死後事務サービス」
の3サービスで構成されており、専ら、高齢者の生活を支えてくれるサービスのことです。
3サービスについて、もう少し深堀りしてみましょう。
①身元保証サービス
高齢者身元保証等サービスのうち「身元保証サービス」では主に以下のようなサービスを提供してくれます。
②日常生活支援サービス
高齢者身元保証等サービスのうち「日常生活支援サービス」では主に以下のようなサービスを提供してくれます。
生活支援だけでなく、お金の管理もしてくれます。
③死後事務サービス
高齢者身元保証等サービスのうち「死後事務サービス」では主に以下のようなサービスを提供してくれます。
身元保証等高齢者サポート事業はどういう人が利用している?
「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書」によると、上の円グラフのとおり、おひとり様だけで40.3%が利用している状況です。
同結果報告書による「利用者」と「具体例」を見てみると下表のとおり。
利用者 | 具体例 | 件数 |
---|---|---|
独居+身寄り無し | 一人暮らしで、身寄りがなく誰も頼れない | 38 |
独居+親族疎遠 | 一人暮らしで、親族はいるが疎遠であり頼れない | 41 |
独居+親族遠方 | 一人暮らしで、頼れる親族はいるが、遠方に住んでいて頼れない | 17 |
高齢兄弟姉妹あり | 兄弟・姉妹はいるが、高齢なので頼れない | 14 |
障害親族あり | 親族はいるが、その親族に障害があるので頼れない | 13 |
高齢夫婦+身寄り無し | 高齢の夫婦だけで住んでおり、他に頼れる親族がいない | 15 |
認知機能低下 | 判断能力が不十分になってきており、自分では保証人の確保が難しい | 24 |
いずれか該当+差し迫った状況 | 上記のいずれかに該当し、かつ、差し迫った状況である | 37 |
将来の備え | 将来の備えとして事業者と契約をしたい | 39 |
将来、該当するような方も多いのではないでしょうか?(私もそのひとりです)
身元保証等高齢者サポート事業の利用料金は?
身元保証等高齢者サポート事業を利用するための料金は、どのくらいかかるのかは下表のとおり。
費目\事業者 | A事業者 | B事業者 | C事業者 | D事業者 |
---|---|---|---|---|
実施するサービス | 身元保証、 日常生活支援、 死後事務 | 身元保証、 日常生活支援、 死後事務 | 身元保証、 日常生活支援、 死後事務 | 身元保証、 日常生活支援、 死後事務 |
基本料 等 | 基本料金51.6万円 (入会金44万円含む) | 基本契約料金 46.2万円 ※遺言書を作らない場合 52.8万円 | 申込金5万円 分担金15万円 年会費1.2万円 | 契約金66万円 |
契約手数料等 | 弁護士費用 12.6万円 | 公正証書遺言作成 13.2万円 | 公正証書作成 10万円 立会人費用 1~2万円 | - |
身元保証料 | 身元保証支援 19.8万円 | 身元保証料金 33万円 | 身元保証 5,000円/件 緊急連絡先 3,000円/件 | - |
生活支援費用 | 33万円 (うち22万円は預託金) 22万円超過分は都度徴収 緊急支援1.1万円/4時間 一般支援1,100円/時 | 財産管理 1.65万円/月 後見サポート 3.3万円/月 訪問料金 5,500円/時 お手伝い 5,500円/時 夜間お手伝い 7,150円/時 等 | 預託金 20万円~ サポート費用 2名1.5万円/日 2名7,500円/半日 等 | 見守り支援費用 1.5万円/月 ※満80歳となった翌月以降 訪問日当 3,300円/時 任意後見申立費用 11万円 等 |
死後事務費用 | 葬送支援費 73万円(預託) | 要相談 (信託口座に預託) | 50万円~ (預託金) | 預かり金 120万円 |
合計 (都度払いの費用を除く。) | 190万円 | 99万円 (基本料金52.8万円) ※死後事務費用 除く | 約100万円 | 186万円 |
「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査 結果報告書」によると、サービスも料金もバラバラです。
今後、ガイドラインなど、一定の基準ができると、基準をもとにどの身元保証等のサービスを利用するか検討できるので、期待したいですね!
身元保証等高齢者サポート事業の利用前に知っておくべき7つのこと
身元保証等高齢者サポート事業を利用する前に、知っておくべきことは次の7つ。
詳しく見ていきましょう。
注意点①:本来、病院は身元保証人等がいないことを理由に入院を拒否できない
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、特に想定するケースは「病院への入院で求められる身元保証人へのサイン」でしょう。
病院へ入院する際、身元保証人のサインは必須なのが当たり前と、お考えではないでしょうか?
実は、本来「病院への入院で身元保証人は必須じゃない」のです。
厚生労働省から「身元保証人等がいないことは、入院を拒否する理由にならない」と通達が出ています。
参考リンク厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集」
参考リンク厚生労働省通達「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」(医政医発0427第2号平成30年4月27日)
また、医師法にもその旨記載があります。
第十九条 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
医師法:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000201#Mp-At_19
しかし、実体は、厚生労働省が平成29年に公表した「調査研究報告書」のとおり、6割以上が身元保証人等を求めているのが実情。
参考リンク厚生労働省「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、本来「病院への入院で求められる身元保証人へのサインは不要なはずなのに、実態は求められている」ということを認識しておきましょう。
注意点②:本来、介護施設は身元保証人等がいないことを理由に入所を拒否できない
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、次に想定するケースは「介護施設への入所で求められる身元保証人へのサイン」でしょう。
病院への入院と同様に、介護施設への入所も身元保証人のサインは必須だとお考えではないでしょうか?
実は、本来「介護施設への入所でも身元保証人は必須じゃない」のです。
厚生労働省から「身元保証人等がいないことは、介護施設への入所を拒否する理由にならない」と通達が出ています。
参考リンク福祉医療機構「WAM NET」2018.8/31 介護保険最新情報vol.676
参考リンク全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 「2016年3月7日」資料
参考リンク【高齢者支援課】「1.介護施設等の整備及び運営について(PDF:1,013KB)」
しかし、実体は、厚生労働省が平成30年に公表した「調査研究報告書」で9割以上が身元保証人等を求めています。
参考リンク「介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業」
病院の入院・介護施設の入所、いずれも、利用料の未払いや、入院・入所後の身の回りの世話をしてくれる人がいない、緊急時の対応等に対する不安といったリスクを回避する観点から、入院・入所に当たって「家族の代わり」となる保証人が求められているのが共通点ですね。
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、本来「介護施設への入所で求められる身元保証人へのサインは不要なはずなのに、実態は求められている」ということを認識しておきましょう。
注意点③:契約中や契約後に判断能力が低下する可能性を想定しておくこと
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、「自分の判断能力が低下する可能性を想定」しておきましょう。
身元保証等高齢者サポートサービスを利用する際は、
- 死後事務支援
- 身元保証
- 日常生活支援(財産管理サービス含む)
を契約するにあたって、高齢になって判断能力が不十分になった場合に備え、
- 財産管理等委任契約
- 任意後見契約
を締結しておくなどの対応も想定しておきましょう。
注意点④:契約期間は長期になる可能性が高い
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、「利用期間(契約期間)は長期になることを想定」しておきましょう。
契約期間がどの程度になるかは
- 健康状態
- どういったサービスを希望するのか
- 事業者が提供するサービス
により異なります。
「身元保証等高齢者サポート」~「死後事務支援」のフルサポートとなると、長期にわたってお付き合いしていくこととなります。
注意点⑤:事業者の選択が難しい
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、「利用するサービスの事業者選択が難しいことを想定」しておきましょう。
現在、統一ルールやガイドラインが無いため、事業者によって、サービス内容が多岐にわたり、サービス提供の方法や費用体系も様々。
身元保証サービスを契約する事業所の選択の難易度は高いのが実情です。
国がルールやガイドラインを検討するようなので、可能であれば公表されるの待ちましょう。
注意点⑥:契約金額が高額。しかも一部サービスは前払い。
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、「契約金が高く、預託金(前払い)があることを想定」しておきましょう。
主に死後事務に要する費用については、「預託金」として、事前に費用を支払うことになります。
しかも、少なくとも 100 万円以上はかかります。非常に高い費用がかかることを覚悟しておきましょう。
注意点⑦:契約内容の履行を担保できる者が不在である場合が多い
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際、「死後契約内容を確認できないことを想定」しておきましょう。
死後事務について、生前に契約した内容を、本人の死後に事業者が履行することになります。
おひとり様の場合、死後事務の履行状況を報告する相手(遺族、相続人、相続財産管理人等)がいない場合がほとんど。
したがって、生前に契約した内容が、適切に履行されたのかどうか確認できないことを意識しておきましょう。
身元保証等高齢者サポート事業を利用する流れ5ステップ
- Step.1要望整理
- 「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービス利用前の要望整理用セルフチェックリストを参考に、自分の望みを整理する
- Step.2利用期間と費用の確認
- Step.3事業者の対応サービス確認と協議
- 「身元保証・日常生活支援・死後事務に係る契約書(重要事項説明書)」の内容確認
- 判断能力が不十分になったときの取扱い、成年後見制度への円滑な移行が記載されているか確認
- 「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービス提供事業者を選定するときのチェックリストの内容を参考に確認
- Step.4事業者との協議結果を書面や契約書に残す
- Step.5利用開始
利用開始までは1か月以上かかります
利用前の要望整理用セルフチェックリスト
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際には、必ず自分が希望するサービスを検討しておきましょう。
参考までに、「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービス利用前の要望整理用セルフチェックリストを展開します。
「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービス利用前の要望整理用セルフチェックリストの中身は以下のとおり。
身元保証サービス
身元保証サービスを契約する際に希望するサービスか否かを以下のとおりチェックします。
サービス概要 | サービス詳細 | チェック |
---|---|---|
連帯保証 | 病院・介護施設への入院・入所時 ・身元保証(連帯保証人) ・手続の支援 | □ |
医療同意 | 医療同意への支援(事前に本人の意思を書面により確認のうえ病院に提示) | □ |
緊急連絡先指定 | 緊急連絡先としての指定及び緊急時の対応 ・緊急搬送される際に搬送の確認及び報告を受けること ・危篤状態となり又は死亡時に報告を受けること ・緊急連絡先として連絡を受け付けること。 | □ |
身元引受 | 死亡又は退去時の身柄の引取り | □ |
日常生活支援サービス
日常生活支援サービスを契約する際に希望するサービスか否かを以下のとおりチェックします。
サービス概要 | サービス詳細 | チェック |
---|---|---|
通院の送迎 | □ | |
付添い | ・買物への同行 ・日常関連取引(契約の変更、解除を含む。)に関する事項 | □ |
生活に必要な物品の購入等 | ・購入物の配達 ・ 生活に必要な物品の購入 | □ |
引っ越し等(平時) | 引っ越し、家具類の移動、家具処分専門業者との打合せ | □ |
引っ越し等(入院・入所) | 病院への入院や介護施設等への入所の際の移動 | □ |
介護契約 その他の福祉サービス 利用契約の手続代行 | ・介護保険契約の締結、変更、解除等の代理及び立会い ・要介護認定の申請 ・介護保険を含む公的社会福祉サービス受給手続の代行、サービス履行の監督、助言、立会い等の支援 ・医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入退所契約に関する事項 | □ |
日常的金銭管理 (定期的な収入、支出の管理) | ・ 家賃、地代、年金・障害手当等の社会保障給付その他の定期的な収入の受領及びこれに関する手続代行 ・公共料金、保険料、福祉関係施設利用料、福祉サービス費用、介護費用、見守り支援に関する支払、その他の定期的な支出を要する費用の支払及びこれに関する手続代行 ・ 生活費の管理、送金 | □ |
保険 | 保険契約(類似の共済契約等を含む。)に関する事項 | □ |
財産管理(動産・不動産) | 管理委託した不動産、動産等全ての財産の保存及び管理、売却等 | □ |
財産管理(不動産:貸地) | 保有する貸地の更新契約の締結、解除・解約、訴訟の提起その他の手続代行 | □ |
財産管理(預貯金) | 全ての預貯金に関する取引(預貯金の管理、振込依頼、払戻し、口座の変更、解約等)、新たな預貯金口座の開設、貸金庫契約、保護預かり契約等 | □ |
財産管理(銀行・証券) | 銀行等の金融機関、証券会社との解約・換価・売却・金銭消費貸借契約・担保権設定契約等の取引に関する事項 | □ |
本人確認書類・証書等の 保管及び各種手続 | 以下の保管・管理 ・登記済権利証 ・登記識別情報 ・印鑑、印鑑登録カード ・住民基本台帳カード ・マイナンバーカード ・預貯金通帳、キャッシュカード ・有価証券 ・年金関係書類 ・健康保険証 ・介護保険証 ・土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類 ・その他重要書類の保管 | □ |
各種手続 (登記) | 登記・登録・供託の申請及び不服申立 | □ |
各種手続 (税) | 税金の申告・納税・還付請求・還付金の受領及び不服申立 | □ |
各種手続 (行政・公共届け出) | ・自治体への転出入等の諸届け事務 ・公共料金等の事務 | □ |
各種手続 (行政発行書類) | ・ 住民票、戸籍謄本、登記事項証明書等の発行届出 ・請求や変更等の手続 | □ |
郵便物の受領・保管 | □ | |
相続支援(遺産分割・相続方式) | ・遺産分割又は相続の承認・限定承認・放棄 | □ |
相続支援(贈与・遺贈) | ・贈与若しくは遺贈(負担付の贈与若しくは遺贈を含む。)の受諾又は拒絶 | □ |
紛争処理 | ・裁判外の和解・仲裁契約、行政機関等に関する不服申立及びその手続の追行 | □ |
死後事務サービス
死後事務サービスを契約する際に希望するサービスか否かを以下のとおりチェックします。
サービス概要 | サービス詳細 | チェック |
---|---|---|
死亡に関する手続代行等 | ・死亡の確認(死亡時の駆けつけ) ・関係者(親族、相続人等)への連絡 ・死亡診断書(死体検案書)の請求及び受領 ・火葬許可の市区町村への申請及び火葬許可証の受領 ・死亡届申請代行 | □ |
葬祭に関する事務 | ・斎場の手配 ・遺体の宅送 ・斎場保管 ・霊柩車 ・火葬 ・棺 ・骨壷 ・位牌等の手配 ・料金及びお布施等の支払 ・枕経 ・法(戒)名の授与 ・初七日式典に関する手配 ・料金の支払に関する支援 ・立会い | □ |
火葬に関する手続代行 | ・火葬手続(火葬の申込み、火葬許可証の提示)に関する手続代行 ・火葬への立会い ・埋葬許可証の受領(火葬場で火葬許可証に捺印を受領) | □ |
納骨、埋葬に関する手続代行 | 収蔵(納骨堂)、埋蔵(墓処)、永代供養に関する事務及び立会い | □ |
遺言執行に関する手続代行 | ・遺言執行代理・代行(戸籍簿又は除籍簿の謄本、抄本、住民票、死亡原因及び死亡の事実を証明する書面の交付請求・受領) ・相続財産管理人の選任申立て | □ |
施設、病院からの退所 に関する手続代行 | ・ 医療機関の退院手続、入院費の精算及び病室等の整理 ・ 高齢者施設等の居室内の遺品整理、家財道具及び生活用品等の処分に関する事務 ・ 高齢者施設等の施設契約の解約、費用精算及び原状回復立会い | □ |
行政機関での手続代行 | ・印鑑登録証の返却 ・国民健康保険資格喪失届 ・介護保険資格喪失届 ・年金受給停止手続 ・(世帯主の場合)各種名義変更 ・運転免許証、パスポートの返却 ・(福祉サービスを利用している場合)福祉サービスの停止 | □ |
ライフラインの停止に関する手続代行 公共料金(電気・ガス・水道)の解約 | ・インターネット・Wi-Fi等の解約 ・NHKの解約 ・固定電話、携帯電話等の解約 ・銀行口座の凍結 ・クレジットカードの解約 ・貸金庫の契約解約の手続 ・各種会員の脱会手続 | □ |
残置物等の処理 に関する手続代行 | ・遺品目録の作成、相続人等への遺品・遺産の引渡し ・家財整理に関する事務 ・遺品整理のサポート | □ |
収蔵、埋蔵施設の管理等 に関する手続代行 | ・墓地の清掃・管理 ・墓石を撤去して墓地の移設・改葬・返還 | □ |
以上を参考に、自分が望むサービスを整理しましょう。
事業者選定用対応サービスチェックリスト
身元保証等高齢者サポートサービスの利用を検討する際に、どの事業者を選択するか比較しましょう!
参考までに、「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービス提供事業者を選定するときのチェックリストを展開します。
「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービス提供事業者を選定するときのチェックリストの中身は以下のとおり。
No | 比較項目 | 身元保証 に係る契約 | 日常生活支援 に係る契約 | 死後事務 に係る契約 |
---|---|---|---|---|
1 | 契約の主体 | 代表者名: ご連絡先: | 代表者名: ご連絡先: | 代表者名: ご連絡先: |
2 | 契約の効力開始 | 開始日時: 終了日時: | 開始日時: 終了日時: | 開始日時: 終了日時: |
3 | サービス内容 | |||
4 | 預託金等の額 ※内訳及び費目 | |||
5 | 判断能力が不十分 になったときの取扱い | □ 任意後見契約の締結 □ 法定後見制度への移行 □ その他 ( ) | □ 任意後見契約の締結 □ 法定後見制度への移行 □ その他 ( ) | □ 任意後見契約の締結 □ 法定後見制度への移行 □ その他 ( ) |
6 | 契約の変更可否 と条件 | 変更:○(可)・×(否) 条件:_______ 申出方法:_____ | 変更:○(可)・×(否) 条件:_______ 申出方法:_____ | 変更:○(可)・×(否) 条件:_______ 申出方法:_____ |
7 | 解約の変更可否 と条件 (死亡時含む) | 解約:○(可)・×(否) 条件:_______ 申出方法:_____ | 解約:○(可)・×(否) 条件:_______ 申出方法:_____ | 解約:○(可)・×(否) 条件:_______ 申出方法:_____ |
8 | 返金 | 解約時:あり・無し 契約終了時:あり・無し | 解約時:あり・無し 契約終了時:あり・無し | 解約時:あり・無し 契約終了時:あり・無し |
9 | 精算 | 解約時:______ 契約終了時: □ 利用者本人の遺産(口座) から精算 □ 相続人に請求 □ その他( ____) | 解約時:______ 契約終了時: □ 利用者本人の遺産(口座) から精算 □ 相続人に請求 □ その他( ____) | 解約時:______ 契約終了時: □ 利用者本人の遺産(口座) から精算 □ 相続人に請求 □ その他( ____) |
10 | 預託金の 管理方法 | □ 事業者専用口座 □ 信託会社の信託口座 □ 事業者個人口座 □ その他( ___ ) | □ 事業者専用口座 □ 信託会社の信託口座 □ 事業者個人口座 □ その他( ___ ) | □ 事業者専用口座 □ 信託会社の信託口座 □ 事業者個人口座 □ その他( ___ ) |
11 | 預託金の 分別管理 | ○(分けて管理している) ×(事業金と各人の金は一緒に管理) | ○(分けて管理している) ×(事業金と各人の金は一緒に管理) | ○(分けて管理している) ×(事業金と各人の金は一緒に管理) |
12 | 利用者個人情報保護 | 契約書に取り扱い明記 あり ・ 無し | 契約書に取り扱い明記 あり ・ 無し | 契約書に取り扱い明記 あり ・ 無し |
13 | 緊急連絡が あった際の対応 | 契約書に記載 あり ・ 無し | 契約書に記載 あり ・ 無し | – |
14 | 入院や入所に 要する対応・費用 | 契約書に記載 あり ・ 無し | 契約書に記載 あり ・ 無し | – |
15 | 手術や延命治療 への対応 | 契約書に記載 あり ・ 無し | 契約書に記載 あり ・ 無し | – |
16 | 利用者死亡後の 費用支払い方法 | – | – | 契約書に記載 あり ・ 無し |
17 | 死後事務委任契約の 履行状況の報告先 | – | – | □ 相続人、相続財産管理人、受遺者、親族のいずれかに報告 □ 提携先の弁護士等の専門家に報告 □ 別法人の組織に報告 □ 特段報告していない |
18 | 苦情受付窓口 の有無 | 契約書に記載 あり ・ 無し | 契約書に記載 あり ・ 無し | 契約書に記載 あり ・ 無し |
以上の内容を、サービス提供事業者へ確認していきましょう。
トラブル事例集
「身元保証」「日常生活支援」「死後事務」支援サービスを提供する事業者で、実際に発生したトラブル事例を紹介します。
パターン①:疎遠な親族トラブル
身元保証等高齢者サポートサービス利用で「疎遠な家族や親族とのトラブル事例」は次のとおり。
事例①-1.疎遠親族が「差し置かれた!」と怒り→解約へ
利用者とこれまで疎遠であった親族が、利用者と連絡を取り合った際に、利用者が身元保証に関する契約をしたことを知り、「自分を差し置いて契約するのか」と事務所に現れて、契約の解除を申し入れ、そのまま解除に至ったことがある。
利用者の大半は親族と疎遠になっており、事業者側から契約した旨の連絡を行うこ
と自体がトラブルを誘発するおそれがあり、対応に苦慮している。
(A事業者)
事例①-2.疎遠親族が「成年後見人は私!(死後事務実施)」→返金へ
利用者と締結していた任意後見契約に基づき、任意後見を開始した後、同利用者と疎遠だった親族が現れて、「自分が成年後見人となるべきだ」と主張された。
同利用者とは死後事務委任契約も締結していたが、同利用者が亡くなった後、当該親族は、自らが喪主となって、葬儀や納骨等を行うとしたため、契約を解除し、預託金については手数料等を除き全額返金した。
事例①-3.疎遠親族が「遺言に納得いかない!」→事業者訴訟→敗訴
利用者の死後に、利用者と疎遠だった親族に対して葬儀の連絡をし、公正証書遺言の内容を説明したところ、親族は「遺産は自分が相続するはずであり、公正証書遺言の内容に納得できない」として、各種契約は無効であり、遺言も本人の意思ではないため無効であると訴訟を提起した。裁判では、同利用者の体調に加え、当該親族の家庭内暴力が原因で、同利用者は当方を身元保証人として施設へ入所した経緯があったことから、当方(事業者)が勝訴した。
(B事業者)
自分の死後、疎遠な親族が出しゃばってきて、という定番の相続トラブルですね。
私は、遺言書の付言事項(要は法的拘束が無い「お気持ち」)に「疎遠な親族にはお世話になっていないため相続させる財産は無い」旨を、ぐぅの値も出ない威力で記載しようかと思っています。
参考リンク法務局保管対応の『遺言書の書き方』を7ステップでかんたん解説!
パターン②:相続トラブル
身元保証等高齢者サポートサービス利用で「自分の死後、いわゆる相続で発生したトラブル事例」は次のとおり。
②-1.契約後、新たに相続人が判明
契約後に新たな相続人等が判明した例がある。
(事例1)両親が離婚しており、また、こどもがおらず、相続人は自分が知っている兄弟しかいないと思っていたが、別に相続人がいることが判明した例
(事例2)過去に離婚しており、こどもを残してきたことを隠していたために、後になって相続人がいることが判明した例
(事例3)養親と離縁したと思っていたが、実際には離縁手続がされていなかったことが判明した例
(C事業者)
②-2. お世話になった事業者への寄附・遺贈で親族登場①
利用者からサービス事業者へ遺産の一部を寄附するとの話があり、高額な寄附を受ける贈与契約を締結したところ、同利用者が亡くなった後にその親族が現れ、「寄附をするつもりはない」として、トラブルになった。
当該親族との話合いの結果、大部分を返却し終結したが、当該トラブルを踏まえ、今後は寄附の申出があった際は、贈与契約書ではなく、公正証書遺言か生前に寄附してもらうこととした。
(A事業者)
②-3. お世話になった事業者への寄附・遺贈で親族登場②
利用者と生前に締結した贈与契約が履行されなかったことを端緒に提訴したが、敗訴した。
単なる贈与契約への判断が厳しくなっているため、本件以降は、寄附したいとの申出があった場合には、公正証書遺言か生前に寄附してもらうこととした。
(B事業者)
疎遠な親族より、生前良くしてもらったサービス事業者へ寄付したくなる気持ちはよく分かりますね!
もしお世話になった事業者へ寄付したいと思ったら遺言書を作成しましょう!
パターン③:悪徳業者トラブル
身元保証等高齢者サポートサービス利用で「悪質業者とのトラブル事例」は次のとおり。
③-1.悪質業者に意思に反する遺言書を作成させられた①
特定の親族に遺産を相続させたいという意思があった高齢者(従前、事業者と契約を締結)について、当該高齢者が入所する施設から、「事業者の手配により作成された当該高齢者の遺言書を公証役場にて確認したところ、遺産は全て事業者に遺贈する記載になっていた」との相談があった。
当市区町村は、上記施設からの相談を受けて弁護士に相談し、弁護士が事業者に対して、遺言書が高齢者の意思に反する内容になっているため修正するよう伝えたが、
修正後も事業者に全財産を遺贈する記載になっていた。その後、高齢者の判断能力が不十分になってきたため、弁護士は、成年後見人(補助人)を付け、事業者との契約を解除するとともに、当該高齢者の意思に沿った内容の遺言に修正した。
(A市区町村)
③-2.悪質業者に意思に反する遺言書を作成させられた②
利用者が事業者と財産管理に関する契約を締結した際に、事業者から言われるがままに、利用者の死亡後、全財産を事業者に遺贈するという内容の遺言書を作成させられたという相談があった。地域包括支援センターが利用者の意思を確認したところ、親族に遺産を相続させたいため、遺言書の内容を修正したいと考えていた。このため、当市区町村は弁護士に相談し、遺言書について利用者の意思に沿った内容に作成し直した。なお、利用者については、判断能力が不十分になってきていたことから、成年後見の申立てを行った。
(B市区町村)
③-3.悪質業者に意思に反する遺言書を作成させられた③
介護施設等に入所するに当たって事業者と契約を締結した高齢者について、当該高齢者が入所する施設が、当該高齢者の財産を全額寄附するよう求める内容の手紙が事業者から届いたことを不審に思い、弁護士に相談したことがあった。
施設からの相談を受け、弁護士が調査を行うと、既に遺言書が作成されており、当該高齢者が保有する財産の管理や運用、処分をする権利を当該高齢者の親族に与えていたが、重度障害者であるため、事業者に財産管理等の権利を再付与し、最終的に事業者が財産を受け取る内容となっていた。このため、弁護士が遺言書を修正し、事業者との契約も解除した。
(C市区町村)
③-4.契約した事業者が消えた
高齢者が自分で調べたX事業者と身元保証や死後事務について契約を締結した後に、契約に要する費用とは関係なく、別途千数百万円もの資金を事業者に提供したが、その後、事業者の代表者と音信不通となり、契約も不履行となった。
本件に関しては、当該高齢者が入居する高齢者住宅の事業主が地域包括支援センターに情報共有した上で司法書士に相談し、家庭裁判所で当該高齢者がX事業者と締結した契約を全て解約した。その後、当該高齢者はX事業者の代表者に対して損害賠償請求訴訟を起こした。
(A地域包括支援センター)
③-5.死後、事業者(士業)が預金を盗んだ
当時、当事業者の実質的経営者であった者Y(注)が、事業者と契約していた利用者の死亡後(当事業者との契約は、この時点で終了。)、同利用者に係る相続手続の過程で、利用者の預金口座から金銭を横領していたことが発覚した。
(注) 当該者は、士業として成年後見業務及び財産管理業務を実施。事業者の当時の代表者は、当該者と親族関係にあるとみられる者。
Yは、懲戒処分を受けて官報に公告され、士業を廃業し、その後、業務上横領の疑いで逮捕に至った。
(B事業者)
悪質な事業者は遺言書で金銭を要求してくることが多いようです。(明るみに出たことで今後他の手段になるかもしれません)
また、信頼して任せた士業者が横領する事例があったようです。幸いにも、自分の認知機能が低下したと気づき・認められれば、成年後見制度に移行してもらいたいところですね。
パターン④:利用者本人の認知機能低下によるトラブル
身元保証等高齢者サポートサービス利用で「利用者本人の認知機能が低下したときに発生したトラブル事例」は次のとおり。
④-1.「そんなサービス受けてない!(真偽不明)」→解約へ
判断能力が不十分になってきていた利用者に対して、サービスに要した費用請求書(サービスを提供した時期やサービス内容を明記)を渡したところ、そのようなサービスは受けていないと苦情を受けたことがある。そのため、①会議で対応策を検討するとともに、②施設の関係者に立ち会ってもらって、当該利用者に説明したが納得してもらえず、契約の解約を求められたため解約した。
(A事業者)
④-2.認知機能低下後も、利益を優先する悪徳業者
利用者が任意後見を含む身元保証に関する契約を事業者と締結していたが、当該利用者の判断能力が不十分になった後も、事業者により任意後見監督人の選任の申立てがなされず、事業者が引き続き当該利用者の預金の管理等を行っていた。
当地域包括支援センターは、この状況を懸念し、成年後見センターに当該利用者の現状を説明・相談し、当該利用者に成年後見制度の利用を案内したが、断られてしまった。
(A地域包括支援センター)
④-3.認知機能低下し、事業者も制御できなくなった金銭トラブル
利用者から預金通帳を預かっていた事業者が、当該利用者から預金の引き出しを求められた際に、口座の残額等を確認せずに本人の要求どおりにお金を渡していたため、利用者本人の年金等の収入よりも支出が多くなったことが発覚した。
当地域包括支援センターが、事業者に確認したところ、利用者に何度も説得を試みたが、それでも要求があるため、対応に困っていたと説明をしており、最終的には、事業者との契約を解約した上で、成年後見制度の利用に至った。
本トラブルが発生した原因は、事業者による契約者の認知機能や支払能力等の審査が不十分であったと思われることや、支出が収入を上回り続けた際に、より早い段階で事業者が当地域包括支援センター等の関係機関に情報共有を図らなかったこと等ではないかと思われる。
(B地域包括支援センター)
④-4.認知機能低下を見抜くのが難しいのか、事業者の怠慢か
金銭管理ができなくなった利用者と契約している事業者は、「安否確認のために電話連絡や数箇月に一度、本人の自宅を訪問している」と述べていたが、利用者本人にその認識がなく、成年後見の市区町村長申立てを行う必要がある状況であった。しかしながら、事業者はそのような状況を全く把握していないようであったことから、利用者に後見人を付けた。
(C地域包括支援センター)
④-5.利用者の認知機能低下を悪用した事業者
有料老人ホームから、「事業者の職員が頻繁に契約を締結した利用者のところに遺言の確認とサインを求めに来ているが、本人は到底その内容を理解できるような状態ではないため、成年後見制度を活用するなど何らかの対応ができないか」という相談があった。
当地域包括支援センターは、当該利用者がノートに文字を書く練習をさせられていることや、死亡後に土地などの資産を事業者に寄附する旨の内容の遺言書を書かせている状況がうかがえたことから、福祉事務所と協議し、成年後見の申立てを行うこととなり、後見人が選任された。
(D地域包括支援センター)
原因が「われわれ利用者側の認知機能の低下」なのか「サービス事業者の怠慢や悪徳なのか」が判断付かない事例もあります。
認知機能の低下は本当に厄介。自分もいずれ認知機能が低下していくと想像すると、怖いですし、そんなときのために備えておきたいですよね。
パターン⑤:返金・解約トラブル
身元保証等高齢者サポートサービス利用で「解約・返金トラブル事例」は次のとおり。
⑤-1.契約書確認不足による解約時の入会金が返金されないトラブル
利用者から解約の希望があった際に、入会金も含めて契約の際に支払った費用の全額を返金してほしいと申し入れがあった。しかし、契約書上、入会金を返金しないこととしているため、その旨を利用者に説明したが、理解してもらえなかった。消費生活センターや市役所に相談し、改めて利用者に面談して説明したい旨を連絡したが、面談に応じてもらえないままとなっている。
(A事業者)
⑤-2.契約書確認不足による解約時の入会金が返金されないトラブル
利用者から解約の申出があったが、約款に基づき入会金は返還しないことを連絡したところ、適格消費者団体から、当該入会金の徴収とその不返還条項を定めた約款は消費者契約法第10条に反して無効であるとして、その使用差止請求を受けた。
当該差止請求を受け、約款の条項改訂(解約時には各支援の実施状況に応じ入会金を一部返還)を行うとともに、入会金の金額を引き下げ、入会金の内訳として4項目
(初期費用、身元保証支援費用、金銭管理支援費用、死後事務支援費用)を設定した。
しかし、その後も、同適格消費者団体から、「改訂後の約款において定められた入会金の一部不返還条項は、改訂前の約款同様無効であり、入会金に関しても、その内訳として振り分けられている 4 項目は何らの内実を伴っていない。」、「この条項改訂は以前の約款に対する差止め請求を契機とする後付けであり、改訂後の条項も、依然として対価性のない金銭を徴収し、消費者の利益を一方的に害するものであり無効である」として、改訂後の約款の差止め請求訴訟を提起された。
当該提訴を受け、入会金の徴収条項及び入会金の一部不返還条項について削除することで和解した。
和解後、
① 入会金ではなく初期費用として支払いの規定を置いている。解約における費用返還は契約書において規定しており、初期費用を除く各種支援費用(身元保証支援費用、金銭管理支援費用、死後事務支援費用)については契約期間中に一度も支援を
実施しなかった場合、全額を返金する
② 初期費用及び月会費額の設定について、利用者毎に設定する個別見積り方式とする
こととした。
また、初期費用に依存した運営を行うと将来的に安定した経営が困難となるため、ランニングコストを維持する方針への転換の必要性を感じている。
(B事業者)
⑤-3.疎遠の親族が契約解除して入会金の返金を求めるトラブル
介護施設等に入所することとなった利用者の身元保証及び死後事務を受託した。その後、当該利用者と長く会っていなかった親族が身元保証及び死後事務を自ら行うと申し出たため、契約を解約した。解約に伴い返金するのは預託金のみであり、契約手数料及び保証契約料については、パンフレットにも解約する場合にそれらの費用は返金しない旨を記載しており、契約当初から口頭で利用者に対して説明していたが、当該親族から、預託金しか返金しないことについて不満であると苦情を受けた。
当該トラブルを踏まえて、契約前の面談・ヒアリング時や契約時にも、契約後は契約手数料及び保証契約料を返金しないことをより重点的に説明することにより、再発防止に努めている。
(A事業者)
解約に伴って、支払った入会金などが返金されるか否かを必ず確認しておきましょう!
パターン⑥:その他
身元保証等高齢者サポートサービス利用で「その他のトラブル事例」は次のとおり。
⑥-1.死後、事業者が利用者の携帯電話を解約できない
・ 利用者本人が死亡したため携帯電話を解約したいと申し出ても、遺族であることを示すことができなければ解約できないと言われたため、死後事務委任契約の性質や重要性を理解した柔軟な対応に改めてほしい。
・ 通信事業者に利用者本人の死亡届と死後事務委任契約書の写しを提示しても一切解約に応じてもらえないことがあり、納得できない。
死後事務契約していても、携帯電話会社がそれを認めてくれなければ解約できない事例。
これは、厄介ですね。公共料金やインターネット・携帯会社にも、今後作成されると言われているガイドラインを通達して欲しいものです。
⑥-2.事業者経営破綻によりサービス停止・預託金返金もなし
主に利用者が死後事務のサービスを利用する際に 、当該サービスに要する費用をあらかじめ預託金として事業者等に預けておくことが多い状況がみられた。過去には、事業者において預託金の保全措置がなされておらず、同事業者が経営破綻した結果、サービスが提供されず、預託金も返還されなかった事態が生じたが、その後、身元保証等高齢者サポート事業における預託金の管理方法について、法令上の規制等はない。
サービス事業者が経営破綻したとき、預託金が、株や投資信託のように分別管理されていないと、補償はありません。分別管理しているか否かは確認しておきましょう!
参考リンク証券会社破綻の安全装置「分別管理」と「投資者保護基金」とは?
さいごに:業者選定は慎重に。おひとり様は身元保証利用に向けて準備を。
身元保証等高齢者サポートサービスと、サービス利用における、業者選定の重要性はご理解いただけましたでしょうか?
現在、明確なガイドラインが無ありません。
もし、今後利用を検討される方は、国がガイドラインを検討するかもしれないので待つのもありです。
いずれおひとり様高齢者になる予定の人は、利用に向けて「心の準備」と「お金の準備」をしておきましょう!
私は、「配偶者無し」「子無し」で、かつ「全く頼れない兄弟」がいる、という”おひとり様で身寄りのない高齢者”が現実味を帯びてきているため、身元保証サービスにお世話になる予定です。
もし、身寄りのないおひとり様の親戚から「身元保証人になって欲しい」という話があったら、身元保証サービスというのがある、という話をしてみてはいかがでしょうか。
また、「身元保証サービスの利用にかかる費用」と「疎遠な親戚へ依頼した場合にかかる依頼料」を比較して、どちらにするか検討するのもひとつの手かもしれませんね。
終活に関する記事一覧
その他、終活に関する記事リンクを以下のとおりまとめていますので、是非ご覧ください。
以上、ご参考になれば幸いです。