文部科学省の調査によると児童の「6.5%」が学習面又は行動面で著しい困難を示す「発達障害」と推計されています。
平成27年度の調査では41,986人が発達障害の児童がいたようです。

かく言う私の甥っ子(4歳)も発達障害です。
ここでは
についてお伝えしていきます。
発達障害(自閉症スペクトラム症等)の「特徴」や「支援制度」
発達障害とは?
「政府広報オンライン」によると「発達障害」は「脳機能の発達が関係する障害」で、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手、という特徴を持った障害の総称です。

特性に応じて次のような名称がついています。
- 広汎性発達障害
- 注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)
- 学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)
- トゥレット症候群(TS:Tourette’s Syndrome)
- 吃音(きつおん)(Stuttering)
それぞれの特徴は次のとおりです。
広汎性発達障害
広汎性発達障害とは「コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称」で、「自閉症(自閉症スペクトラム)」と「アスペルガー症候群」に分かれます。
自閉症(自閉症スペクトラム)の特徴
自閉症(自閉症スペクトラム)の特徴は次のとおりです。
- 言葉の発達の遅れ
- コミュニケーションの障害
- 対人関係・社会性の障害
- パターン化した行動、こだわり
アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群の特徴は次のとおりです。
- コミュニケーションの障害
- 対人関係・社会性の障害
- パターン化した行動
- 興味・関心のかたより
注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)
注意欠陥多動性障害の特徴は次のとおりです。
- 集中できない(不注意)
- じっとしていられない(多動・多弁)
- 考えるよりも先に動く(衝動的な行動)
学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)
学習障害の特徴は次のとおりです。
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示すさまざまな状態
トゥレット症候群(TS:Tourette’s Syndrome)
トゥレット症候群は、多種類の運動チック(突然に起こる素早い運動の繰り返し)と1つ以上の音声チック(運動チックと同様の特徴を持つ発声)が1年以上にわたり続く重症なチック障害です。
トゥレット症候群の特徴は次のとおりです。
トゥレット症候群の「運動チック」
突然に起こる素早い運動の繰り返すことを「運動チック」と言います。
【比較的よく見られる】
- 目をパチパチさせる
- 顔をクシャッとしかめる
- 首を振る
- 肩をすくめる
【時おりみられる】
- 全身をビクンとさせる
- 飛び跳ねたりする
トゥレット症候群の「音声チック」
突然に起こる発声を繰り返すことを「音声チック」と言います。
【比較的よく見られる】
- コンコン咳をする
- 咳払い
- 鼻鳴らし
【時おりみられる】
- 奇声を発する
- 不適切な言葉を口走る(汚言症:コプロラリア)
このような運動や発声を、本人はそうするつもりがない(自分の意思ではない)のに行ってしまうのが「トゥレット症候群(TS:Tourette’s Syndrome)」です。
吃音(きつおん)(Stuttering)
吃音(きつおん)(Stuttering)は、音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せずに間があいてしまうなど、一般に「どもる」と言われる話し方の障害です。
幼児・児童期に出始めるタイプ(発達性吃音)がほとんどで、大半は自然に症状が消失したり軽くなったりします。
青年・成人期まで持続したり、青年期から目立つようになる人や、自分の名前が言えなかったり、電話で話せなくて悩む人も多いようです。
発達障害(自閉症スペクトラム症等)の「支援制度」
発達障害(自閉症スペクトラム症等)の支援制度は「発達障害者支援法」にて規程されています。
「保育期」「教育期」「就労期」に分けた支援と、県や市区町村における「療育手帳」「精神障害者手帳」の支援があります。
時期に分けた「保育期」「教育期」「就労期」の支援制度
保育期
保育期での支援として「児童福祉施設(保育所)」があります。
保育に欠ける乳児または幼児
具体的には
- 保護者の労働
- 保護者の疾病
- その他の理由
市町村の児童福祉の窓口などへ確認
教育期
教育期での支援として「特別支援学校」「幼稚園・小/中/高等学校」「中等教育学校の通常学級」があります。
- 特別支援教育コーディネーター
- 管理職や養護教諭、学級担任など
が相談の窓口です。
就労期
就労期での支援として「職業リハビリテーション」「就労移行支援、就労継続支援」があります。
職業リハビリテーション
- 身体障害、知的障害、精神障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者
- 発達障害者と確認できる者
下記の目的に応じた相談先へ相談します。
相談先 | 目的 | 連絡先リンク |
---|---|---|
ハローワーク (公共職業安定所) | 職業相談・職業紹介等 | 全国ハローワークの所在案内 |
地域障害者職業センター | 職業評価、職業相談、 職業準備支援、職場適応援助 などの専門的な 職業リハビリテーション | 地域障害者職業センター 所在地一覧 |
障害者就業・ 生活支援センター | 就業とそれに伴う日常生活上の支援 | 厚生労働省 障害者就業・生活支援センター 一覧 |
就労移行支援、就労継続支援
指定障害福祉サービス事業所において、障害者に生産活動などの活動の機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等を提供しています。
就労支援には発達障害の特徴ごとに区分が分かれています。
区分 | 対象 |
---|---|
就労移行支援 | 一般就労を希望する者 |
就労継続支援 (雇用型) | ・就労移行支援事業所を利用したものの 雇用に結びつかなかった者 ・特別支援学校を卒業して就職活動を行ったものの 雇用に結びつかなかった者 ・企業就労をしていた者 ・離職した者 |
就労継続支援 (非雇用型) | ・企業や雇用事務所での就労経験があり 年齢や体力の面で雇用されることが難しくなった者 ・就労移行支援事業所を利用したものの 企業や雇用事務所での雇用に結びつかなかった者 |
- 市町村の障害福祉窓口
- 都道府県が指定する指定相談支援事業者
などへ相談
都道府県および市区町村による「療育手帳」「精神障害者手帳」の支援制度
都道府県および市区町村で「療育手帳」「精神障害者手帳」の支援制度があります。
療育手帳とは?
次の援助内容を受けられる資格制度のこと。
※市区町村によって異なります。
- ① 特別児童扶養手当
- ② 心身障害者扶養共済
- ③ 国税、地方税の諸控除及び減免税
- ④ 公営住宅の優先入居
- ⑤ NHK受信料の免除
- ⑥ 旅客鉄道株式会社などの旅客運賃の割引
- ⑦ 生活保護の障害者加算
- ⑧ 生活福祉資金の貸付
- ⑨ NTTの無料番号案内
- ⑩ 携帯電話使用料の割引
- ⑪ 公共施設の利用料割引
療育手帳の「障害等級」
療育手帳の障害等級は次のとおりです。
障害等級 | 該当する条件 |
---|---|
A1(最重度) | 知能指数が概ね35以下で 下記①または②のいずれかに該当する場合。 ①食事、着脱衣、排便及び洗面等日常生活の介助を必要とする。 ②異食、興奮などの問題行動を有する。 |
A2(重度) | 知能指数が概ね50以下で 盲ろう、肢体不自由等を有する者 |
B1(中度) | 重度(A)のもの以外 |
B2(軽度) | 重度(A)のもの以外 |
療育手帳の「申請先」
- 市町村の福祉担当窓口
例として宇都宮市の場合、次のとおりです。
- 写真1枚(縦4センチメートル、横3センチメートル)
- 印鑑(ゴム印不可)
- 母子手帳
- 他県で交付された手帳 (宇都宮市に転入した方のみ)
療育手帳の「申請の流れ」
1.障害の程度等の判定を受ける
- 18歳未満の場合は児童相談所
- 18歳以上の場合は知的障害者更生相談所
2.結果に基づき、都道府県知事(指定都市にあってはその市長)から交付
判定結果によって、障害等級A1~B2の療育手帳が交付されます。
精神障害者手帳とは?
次の援助内容を受けられる資格制度のこと。
※市区町村によって異なる。
- ① 心身障害者扶養共済
- ② 国税、地方税の諸控除及び減免税
- ③ 公営住宅の優先入居
- ④ NHK受信料の免除
- ⑤ 生活保護の障害者加算
- ⑥ 生活福祉資金の貸付
- ⑦ NTTの無料番号案内
- ⑧ 携帯電話使用料の割引
- ⑨ 公共施設の利用料割引や公共交通機関(※)の運賃の割引など(※主に地方自治体が運営主体の交通機関)
なお、障害者を扶養する人が受けられる「税の控除」は「所得税の控除27万円」です。
精神障害者手帳の「障害等級」
療育手帳の障害等級は次のとおりです。
障害等級 | 該当する条件 |
---|---|
1級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、 かつ、 著しく不適応な行動がみられるため、 日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの |
2級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、 かつ、 不適応な行動がみられるため、 日常生活への適応にあたって援助が必要なもの |
3級 | 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、 かつ、 社会行動に問題がみられるため、 労働に著しい制限を受けるもの |
精神障害者手帳の「申請先」
- 市町村の福祉担当窓口
例として宇都宮市の場合、次のとおりです。
- 診断書、または障がい年金受給者の方は証書の写しと振込通知の写し、
または
県外からの転入の場合は他県で交付された手帳 - 印鑑(ゴム印不可)
- 写真(縦4センチメートル、横3センチメートル)1枚
精神障害者手帳の「申請の流れ」
1.医師の診断を受ける
- 医師に診断してもらい、精神障がい者保健福祉手帳用の診断書を受け取る。
2.本人または保護者が窓口に申請する。
- 障がい福祉課
- 保健と福祉の総合相談
へ申請します。
3.判定を行われる
- 申請受付後、市区町村が都道府県に進達し、都道府県が判定を行う。
4.決定通知が送付されてくる
- 判定後、市より本人または保護者に決定通知(交付・却下)が送付される。
5.精神障害者手帳が交付される
- 自宅に精神障害者手帳が送付されてきます。
精神障害者手帳の「有効期限」
精神障害者手帳の有効期限は「2年間」です。
2年後、更新申請が必要で、初回申請と同様の手続きを行います。
以上、ざっくりですが、発達障害(自閉症スペクトラム症等)の「特徴」や「支援制度」について解説しました。
参考になれば幸いです。
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